ワシントンD.C.から家族と共に日本へ(元保護犬と新たな家族の物語)

           

#01_JULIET (TOKYO)
荻原 直紀さん・郁子さん・ジュリエットちゃん

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ご自宅の玄関に到着すると郁子さんが笑顔で扉を開けてくれ、その後ろから尻尾をブンブンと嬉しそうに振りながらジュリエット(通称ジュジュ)も一緒に歓迎して私を出迎えてくれました。彼女は、金色がかった淡いフォーンの艶やかな毛並みで、撫でるととっても柔らかくて温かく、触れただけでジュジュの性格そのものを感じます。透き通るようなアンバー色の瞳で私を見つめてアイコンタクトをしてくれる、人間が大好きで愛情に満ち溢れた大きな体の穏やかな子です。
今回は、ワシントンD.C.からご夫婦と共に日本へやってきた彼女と家族の物語をご紹介します。

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元保護犬 ジュリエットのこと

2011年10月23日生まれ、ピットブルMIXの女の子。現在7歳(2019.5時点)
ワシントンD.C.の動物保護団体が妊娠中の母犬を保護。その後、里親宅にてジュジュを含む6頭の仔犬が誕生し、同年12月(生後2ヶ月)譲渡会での出会いを経て、荻原ご夫妻の家族になりました。パワフルなパピー時代には自宅に隣接する大きなフィールドで毎日友だちとたくさん運動をして健やかに育ち、その後2歳半で、ご夫婦と日本に移住。現在、日本で暮らして5年目です。人が大好きで距離感がとても近いフレンドリーで穏やかなジュジュは、日本でも多くのお友だちに恵まれて日々豊かに過ごしています。

日本とは違う?ワシントンD.C.の動物譲渡事情

ワシントンD.C.での生活がスタートしたご夫妻は、犬と暮らせる居住環境を整え、複数の保護団体にコンタクトを取りました。その結果、ご縁が繋がりジュジュと出会う____
普段、アメリカの保護犬譲渡事情を伺う機会が少ないこともあり、実際に、保護団体との関係やオペレーション、印象を伺いました。

「インターネットで情報を知った私たちは、譲渡会に行き、ジュジュの譲渡を申し込みました。その際に、まずはリファレンス(推薦)が必要だと言われ、アメリカ在住の2名の友人に私たちのことを保証してもらうことから始まりました。その後、ペーパーワークに入ることが出来たのですが、内容は《生後6カ月で不妊手術をすること・万が一共に過ごす事が出来なくなった場合は必ず保護団体に連絡すること・日本にすぐに帰国する予定があるかの確認》がメインでしたね。

犬を日本に連れて帰ること自体が問題なのではなく、責任と安定を保ってワシントンD.C.で飼育ができるのかどうかが論点だったように思います。
譲渡を受けた後も、摂取したワクチン証明書を送付して確認を受けました。
責任を持って犬をケアしているか___ということについて譲渡後も気にかけてくれていたことは、とても信頼できる姿勢だと思いました。
ジュジュの里親(フォスターペアレンツ)の方とは、今現在もSNSを通じて繋がっていて時折近況報告をします。」

一見厳しくも見えるスタンスですが、保護団体として犬を保護し、命を託したことへの責任であり、犬と新しい家族への愛情を深く感じます。また、信頼と保証について臨機応変に対応をしてくれることは、保護犬と暮らしたいと希望する様々な環境下の人たちとの適正なマッチングに繋がると感じました。

郁子さんは、2015年からスタートした犬の革首輪ショップ【ikoyan fordoggy】の売上の一部を今後ジュジュの保護団体へ寄付をする準備を進めているとのこと。「ジュジュがなくては始まっていませんから・・・」と微笑む郁子さんは感謝を形にして贈りたいと話してくれました。

広大な土地で大きな犬とのびのびと暮らすことに憧れて

アメリカでの生活が決まったら犬と暮らしたいと考えていたご夫妻は、家族に迎えるなら保護犬をとかねてから決めていたとのこと。
その理由の1つに「アメリカに行く前からずっと犬を飼いたかったのですが、東京ではその環境がなかなか整いませんでした。いざアメリカで犬を飼える環境になったら、犬が好きすぎて、犬種など決められなかったんです、全てはご縁かなと思っていました。」と郁子さん。
結果、妊娠中の母犬を保護した保護団体に繋がり、里親の自宅で生まれた生後間もない子犬のジュジュと結ばれることになりました。

「一緒に生まれた6頭の子犬の中でも一番やんちゃで人懐っこくて誰にでも寄ってきて、とても印象的でした。里親の方に『この子の家族は決まっているの?』と確認したら、ジュジュはまだその時点で家族が決まっていなかったので、ご縁を感じて即決でした」と直紀さん。

広いフィールドを毎日犬友達と走り、すくすく大きく育つジュジュ。ご夫妻は、念願となるのびのびとした環境での犬との暮らしを実現しました。

ジュジュが繋ぐ、たくさんの縁と絆

郁子さんは、ジュジュを見つめながら《犬が家族に教えてくれたこと》を話してくれました。
「一言では言い表せないけれど、犬というのは本当に幸せを運んでくれますね。ジュジュは、たくさんの友だちとのご縁をアメリカでも日本でも運んで来てくれます。東京に戻ってからも、アメリカから何人もの友だちがジュジュに会いに来てくれました。
犬と暮らしていると、年齢や人種を問わず仲良くなることが出来るから本当に幸せですよね。日本に帰ったらそれが無くなってしまうのかなと寂しく思っていたら、東京でも同じように友だちの輪が広がって…笑
犬って普段出会うことのない人たちとの縁を繋いでくれて、すごいなって思います。」

「起きるときも寝るときも一緒にいるので、家の中でジュジュの顔を見ているだけで幸せになりますね。。。ジュジュがいることで運ばれて来た幸せのレベルって表現しようがないと思います。本当に毎日可愛くて可愛くて、不思議だなって思うくらい笑」と目を細める直紀さん。

「ジュジュが幸せそうな顔で、安心していてもらえることで、私たちも幸せな気持ちになるんです」

そんなお二人が、ジュジュとの関係の中で、一番大切にしていることはどんなことなのだろう?そこにこの素晴らしい関係のポイントを垣間見ることができるのではないかと思いお二人に伺いました。

「ジュジュにいかにストレスがかからないかをいつも考えています。犬の個性と住む環境や、人それぞれの飼い方の流儀があると思うのですが、私たちはジュジュにとって何がストレスになり、それをどう取り除けるかをいつも意識しているように思います。人間の負担が多少増えても、ジュジュがストレスフリーでいることを子犬の頃から心がけてきました。トイレトレーニングとか、子犬の当時は大変だったこともあったけど、今となってはその選択をして本当によかったと思います。ジュジュが幸せそうな顔で、安心していてもらえることで、私たちも幸せな気持ちになるんです。犬と人間の関係って、本来はシンプルでわかりやすい関係性なんだと思います。」

相手を思う気持ち。そして、与えることで得る幸せや喜び。ご家族の中で、優しい愛が循環している印象を感じました。結果を急がないこと、私たちも犬たちの特性を見極めて歩み寄ることで、きっとお互いの信頼関係や良いバランスが構築されていくのだと感じました。

ビックリ!驚いた初プール、ちょっと笑えるエピソード

インタビューの最後に、ジュジュちゃんと暮らして心に残っている瞬間を伺いました。
「あまりにもたくさんあるから・・・悩んでしまうけれど、イベントのような特別なことよりも、日頃の日常的なことの方が心に残っているような気がします。
でも1つ、今ふと思い出したことがあって___初めてプールに行った時のことなんだけど・・・笑」とつい笑いが止まらなくなったお二人。
「ワシントンD.C.では、市民プールがすごく粋な企画をしてくれて、《犬の日》という1日があるんです。それは、夏の終わりのシーズンオフ、プールをクローズする前日に、犬たちに市民プールを開放してくれるんです。例年、一大イベントになっていて、周辺の犬たちが何百頭とプールに集まって遊びます。
私たちもその話を聞いて、生後11ヶ月のジュジュを連れて初めて水遊びをしに行きました。
いつものように友だちを見つけたジュジュは、”水”を知らずにガッ!!っと一番深いプールに躊躇なく飛び込んだんです。でも、ジュジュは泳ぎが得意ではなくて・・・パニックになったところを、中にいた女性が引き上げてくれました笑
そのあとは浅瀬にも近寄らなかったし、海に連れていっても水には近寄らなかったよね〜その時のことは今でも印象的だしちょっと笑えるエピソードですね笑」

何と犬に優しい楽しい企画なのでしょう!!行政が運営する市民プールで、犬の日があるなんて、日本では聞いたことがないけれど、そんなHAPPYな1日が夏の終わりにあったら、素敵ですね。
犬と暮らす人たちは、犬とのエピソードをふと思い出した時、きっと誰もがちょっと笑ってしまう何かを思い出すと思います。きっとこの記事を読んでくれているあなたも・・・

お二人が用意した初めてのギフト“スノーマンの可愛いおもちゃ“と共に、里親宅から車で荻原ご夫妻の元にやってきた小さな小さな子犬のジュジュは、7年の時を経て大きく幸せに育ちました。
今も毎日、緑豊かな環境で家族とお散歩をして季節の移ろいを感じる日々を過ごしています。保護犬というと、イメージする固定概念があるかと思いますが、時にはジュジュのように母犬が保護をされ、子犬も共に新しい家族を探すケースもあります。
パートナードッグを家族として迎える時に、どんな犬との暮らしを望むのか。家族で話し合う先に、もっともふさわしい縁へ繋がっていくと私たちは考えます。
迎えた場所ではなく、共に過ごす環境と関わりの時間の中で犬とベストパートナーになっていく。だから、犬への愛おしさは日々更新されていくのだと感じました。

荻原さんご夫妻、ジュジュちゃん ご協力をいただき誠にありがとうございました。

ICOYAN FOR DOGGY

2015年10月23日愛犬ジュリエットの誕生日にスタートしたハンドメイド革首輪ブランド。首輪を通して犬と飼い主さんが笑顔に。そして、お散歩中に出会う人との会話のきっかけが生まれたら・・・をコンセプトとし、郁子さんご自身がデザイン・制作しているブランド。

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VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

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