【ドッグトレーナー連載コラム】 「我慢」は犬を強くする 西村緑彩

           

こんにちは、ドッグトレーナーの西村緑彩です。トレーナーとして、長年いろんな飼い主さんと愛犬に会わせていただいた中で感じてきたこと、自分自身の体験などを踏まえ、率直な想いをストレートにお伝えしていこうと思います。時折トレーニングスキルなど、犬と向き合う上でのワンポイントアドバイスなども織り交ぜていきます。そして、その連載の中で何かの言葉が皆さんと愛犬たちにとって心に響くものであればとても嬉しく思います。

実はここ1~2ヶ月のことですが、私の愛犬2頭が続けて整形外科系の体調不良を起こしました。10歳のラブラドールの大地は首から背中の痛みで安静、7歳のチワワのちこは前十字靭帯損傷で近日中に手術、どちらも急なことでしたが、犬たちが落ち着いていてくれたおかげで冷静に治療方法を検討することができました。私自身トレーナーですが、こんな時、やはりしつけの大切さを身をもって感じます。
これから大地とちこはしばらくの期間運動制限をすることになるでしょう。

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緊急時に必要になる3つのスキル

1. 囲いの中での待機(クレートトレーニング)
2. 段差など行ってはいけないところへの注意(規制)
3. 治療中やケアの際、また動きたい時もその場に止まること(静止・待機)

基本、犬たちは自宅で室内フリーにしていますが、上記のように静止をしたり、言われた場所に納得して快く待機することは日常的に行なっているので、最小限のストレス(おそらく本人たちはストレスとも思っていない)で対応してくれます。

話は熊本地震のことに変わります。
地震から約1ヶ月経過した時、動物病院に来る動物たちの診察理由はストレス性の下痢や嘔吐、そして熱中症だったそうです。
まだ気温が上がり切らない5月でも暑い日は熱中症の危険はありますが、この時の熱中症の理由は「ストレス」
犬は、緊張すると激しく「ハァハァ」呼吸をします。
慣れない環境に緊張し続け、余震ごとにドキドキして、精神的に落ち着けなかった結果____呼吸がずっと荒い状態で過呼吸になり、体温が上がってしまって熱中症で病院に行くことになってしまう犬が多く見られました。
また、その治療の際に、病院でも水不足が続いている中、十分に身体をを冷やすことができず手遅れになってしまってケースもあったそうです。

災害時、避難所でのペット避難への意識は、大きな災害のたびに話題になり、同行避難もできるように変化して来ました。

ただ忘れていけないのは非日常的な環境で、様々な人がいて、それぞれが不安を抱え、緊張している中、犬優先にはできない環境になるということです。

避難所には、クレートが必須の場所もたくさんあります。
そんな時、一般的にいうと「我慢」をしなければならない状況下で待つことができない犬たちは過剰なストレスを感じます。

体調不良や災害など、非日常的なことが起こると今までの生活スタイルが激変することがあります。
その変化に過剰にストレスを感じてしまう犬たちは、若いころから「我慢」をさせてこなかったケースが多いような気がします。

「クレートはかわいそう」
「待たせるのは辛い」
「我慢はストレスがかかるからやらせたくない」

といって「我慢」をさせてこなかった犬たちが結果、緊急時などに、過剰な精神的負担を背負うことになり、もっともっとかわいそうなことになってしまったケースをたくさん見聞きして来ました。

犬は、「我慢」を経て「納得」していくもの

その「納得」は「習慣」になり空気を吸うように自然に受け入れられるようになります。
そこにストレスはありません。

でもその「我慢」を「納得」にさせる練習は、実際に病気になったり災害に見舞われたときにやることはできません。
若いとき、元気なとき、毎日の生活の中で習慣化し、精神的に強い犬に育てることで、いざと言うときに安心して落ち着いて一緒にいてくれるパートナーになるのです。

災害時のみならず、体調不良はどの犬にも起こる可能性があることです。
しつけへの意識を日常の中から見直すことで、その時、結果犬たちを守ることに繋がると私は思います。

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今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

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