【連載】登山犬茶々丸と共に見てきた景色 〜厳冬期登山への挑戦「東天狗岳」〜 富永 祐太

           

2019年5月、enkaraは元保護犬と暮らす家族の物語「セカンドストーリー」で富永祐太さんと元保護犬茶々丸くんにインタビューさせていただきました。あれから1年、ふたりはその後も数々の登山に挑戦し、2020年冬ついに目標の冬季阿弥陀岳北陵を踏破!本連載では、踏破に至るまでの約5年間の軌跡を絶景の写真と共にお届けします。この連載を通じて、犬と暮らす方はもちろん、より多くの方に、犬と人の信頼の姿、そしてリスペクトし合う絆を感じていただけたらと思います。第2回目は、初の厳冬期登山への挑戦「東天狗岳」をお届けします。

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登山記録

2016年12月3日(茶々丸:2歳1ヶ月)
東天狗岳
山域: 八ヶ岳連峰

※八ヶ岳連峰北側(北八ヶ岳)の最高峰天狗岳。東天狗岳は長野県にそびえる縦走路上にある標高2,646mの山。

四季の中で雪景色が一番好き

Q.厳冬期の登山へ挑戦しようと思ったきっかけを教えてください

「四季の中で雪景色が一番好きなので、前々から行きたいと思っていました。
前シーズン(2015年)に茶々丸と一緒に初心者が行く雪山を体験したのですが、その時、茶々丸も楽しそうに雪で遊んでいたので、本格的な雪山に移行してみようと思いました。」

Q.なぜ、初めての厳冬期登山として東天狗岳を選択したのでしょうか?

「リスクを減らす観点から、
無積雪期に何回か行った事がある山でルートも分かっているという事と、
ルート的にも初級で途中に小屋があるという事を考慮して選びました。」

恐怖があるから、自分の力量を把握する

この登山から装備をちゃんと整えて使用した登山になったと話す祐太さん。
不安もありながらの登山だったとのことで、ふたりのターニングポイントとなったというこの日の準備や想いを伺いました。

Q.装備はどのようなものを装備しましたか?

「元々雪山用に揃えていた物にプラスした形です。
僕の追加装備は、厳冬期専用の雪靴、12本アイゼン、ピッケル。
茶々丸は、全身を保護できる服を追加しました。」

Q.当時”不安”は何に感じていましたか?

「雪山は無積雪の山よりもリスクが大きいので、いつも以上に不安や恐怖がありました。
道に迷ったら、滑落したら、そもそもちゃんと雪道を登れるか降れるか、茶々丸を制御できるかなど___
でも、雪がない登山でも常に恐怖はあるんですよね。
恐怖を感じなくなったら逆に危ないと思うんです。
恐怖があるから、自分の力量を把握しようとしますし、ちゃんと下調べや計画をし、手を抜く事をしないのだと思います。」

ちゃんとお互いを見て登るように

Q.茶々丸くんの様子と変化

「行く前はちゃんと歩けるのか、登れるのか。
途中で歩きたくないって言うのではないかなどと色々思ってたのですが、要らぬ心配でした笑
雪がない時と同じように人間よりも登れますし、歩けるのは変わらずで、楽しそうに遊んでいました。
雪道は、雪がない時に比べてルートが不鮮明になりがちなのですが、
雪がない時に何度か来たこともありルートを覚えているのか、茶々丸は1度も迷う事なくずっと先頭で歩いていました。
急な登りでも爪を効かせてちゃんと登っている姿を見て凄いなぁっと感じる所もたくさんありましたし____
正直、同じ雪山2年生同士なのに、茶々丸の方が断然登れていました。
そしてここからお互いに好き勝手に登るのではなく、
ちゃんとお互いを見て登るようになっていきました。」

自信から挑戦へ

Q.今振り返るとこの登山がターニングポイントと感じた理由は?

「この登山を通じて、”茶々丸とふたりで行ける!”という自信に繋がりました。
当時、登ってみたい雪山がいくつもあったのですが、これから一緒にそういう雪山に挑戦していってみようという想いへ変化しました。」

Q.一番心に残ったエピソードを教えてください。

「この登山では、色々な方々に声をかけていただき可愛がってもらってました!
そして途中の小屋から山頂まで、抜きつ抜かれつで登った方とは今でもSNSを通じて交流したり、山でばったり再開したりと人との繋がりが出来たことも嬉しい出会いでしたね。この日から少しづつ”茶々丸”を認めてくれる方々が増えていったように思います。」

今回は、祐太さんと茶々丸くんが初めての厳冬期登山への挑戦を通じ、さらに強靭な絆が生まれていくふたりのターニングポイントとなった登山を伺いました。
次回は、2018年3月八ヶ岳連峰の最高峰「赤岳」への山行をお届けします。雪山3年目になり色々と経験も積み、お互いのスキルも上がってきたことからのチャレンジ!この時の赤岳山頂から隣にある阿弥陀岳を見て、「いつかあの阿弥陀岳に挑戦しよう!!!」という思いに至った山行です。お楽しみに。

プロフィール

  • 富永祐太
    富永祐太(とみなが ゆうた)
    1986年2月24生まれ、東京出身
    雪山、バリエーションルート、クライムダウンなんでもこなす登山犬茶々丸と共に数々の登山に挑戦。2014年8月15日の北岳からはじまり、2016年末頃から毎週山に向かうようになる。主に自宅から200km圏内の山の日帰りが多く、茶々丸と共に、赤岳 – 硫黄岳縦走(厳冬期)、谷川岳西黒尾根(厳冬期)、阿弥陀岳中央陵(厳冬期)、阿弥陀岳北陵(厳冬期)、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根(無積雪期)テント泊、編笠山 – 赤岳縦走(無積雪期)を経験。2020年冬季阿弥陀岳北陵踏破!
  • 茶々丸
    茶々丸(ちゃちゃまる)
    2014年11月1日生まれ(推定)MIXの男の子 千葉県柏市にあるNPO法人動物保護団体に保護された茶々丸は、推定生後2ヶ月で祐太さんの家族になる。元々、登山が好きだった祐太さんと成犬になった茶々丸は、共に単独登山で様々な山に登る楽しみを知っていく。5歳を迎えた茶々丸は、多くの登山仲間が増え、仲間たちと共に登山にチャレンジする日々を送っている。
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VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

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