【老犬介護スペシャリスト渡辺 聡】 成犬になってからでも遅くない!外でしか排泄できない犬の再トイレトレーニング

           

犬がシニア期になると様々な状況が起こります。現在、日本の犬の平均寿命は14.48歳、7歳以上の高齢犬が飼育全体の約半数以上を占めていると言われています※。また、8歳以上の犬の20%は認知症の可能性があると考えられており、犬の高齢化に伴いライフステージに合わせた問題に対して、その対応は飼い主として必須です。
高齢犬や要介護犬に多い悩みや相談に、自らも介護の経験を持つ老犬介護スペシャリストドッグトレーナー渡辺 聡が答える「シニア期の連載コラム」。今回は、シニア期を迎える成犬のトイレトレーニングについて教えていただきます。
令和2年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)発表

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高齢犬にとって室内トイレ習慣は大事!


高齢になってくると体調の変化などから、雨の日や寒い日、暑い日、いろいろな状況でお散歩に行けなくなることが出てきます。気持ちよく室内で排泄できるように、高齢になる前から室内のトイレシートで排泄する習慣を身につけておくと良いでしょう。
また、トイレシートに排泄をすることで尿や便の量と状態から、体調の変化が把握しやすくなります。フードの量、体重、尿や便の回数など気になったことをメモしておくと、獣医への説明がしやすいなど後から役に立つことがあります。高齢になるとおむつを使う可能性も出てきます。事前にサイズを把握しておくなど、必要になる前に装着を慣らしておくことが大切です。成犬になってからでもトイレトレーニングは遅くありません。シニア期や高齢期を迎えるまでに、是非もう一度トイレ問題に向き合ってみませんか。

犬のシニア期とは・・・
一般的に7歳くらいからを指します。しかし7歳というと、まだまだ元気な犬が多く、実際にトイレの問題が出てくるのは高齢を迎えてからがほとんどです。

段階別!もう一度犬と一緒にトイレトレーニングしよう


長年、散歩中に排泄をしてきた習慣を変えるのは根気が必要になります。人も長年の習慣は簡単に変えることはできませんよね。上手くいかなくても焦らずに、絶対に叱らずに、根気強く犬と一緒に楽しくステップアップしましょう。

【ステップ1】まずはじめに

飼い主が決めた排泄場所以外を避け徐々に家の近くにする

散歩中にあちこちで排泄をしてしまう場合、まずは飼い主が決めた場所や指定した場所に排泄するようにしましょう。今まで排泄していた場所(電柱や木など)に近づかないようにすると排泄の回数が減り、飼い主の決めた場所や指定した場所に排泄しやすくなります。その後、その排泄場所を徐々に家に近づけていきましょう。

【ステップ2】トイレシートにトライ

トイレシートで排泄する

1.排泄場所がある程度家の近くになってきたら散歩にトイレシートを持って行きます。
2.飼い主が決めた排泄場所に行き、排泄するような仕草を見せたらトイレシートを敷きます。
3.すぐに排泄をしない場合は、少し待ちましょう。
4.トイレシートで排泄ができたらおやつをあげてほめましょう。

【ステップ3】トイレシートを排泄場所と認識したら

排泄場所を家の玄関にする

1.トイレシートを排泄場所と認識してきたら、排泄場所を家の玄関などにします。
2.散歩の前に玄関にトイレシートを敷き排泄を待ちます。
3.排泄をしなければ、少し散歩をしてから玄関に戻り、トイレシートを敷き排泄を待ちます。トイレシートで排泄ができたらおやつをあげてほめましょう。

【ステップ4】玄関のトイレシートで成功したら

室内のトイレシートで排泄をする

1.散歩の前に室内にトイレシートを敷き排泄を待ちます。
2.排泄をしなければ、少し散歩をしてから室内に戻り、トイレシートを敷き排泄を待ちます。トイレシートで排泄ができたらおやつをあげてほめましょう。

高齢犬のトイレ問題アドバイス


高齢になると、様々なトイレの問題や悩みが出てきます。

・排泄が間に合わなくなった
・トイレ以外の場所で排泄するようになった
・夜間や留守番(飼い主不在)の時に排泄の対応ができない
・下痢が多くなって対応が大変

例えば、足腰が弱くなったり、視力が悪くなってきたら、トイレに行くまでの経路とトイレ環境(段差)を見直しましょう。また、排泄が間に合わない場合のために、トイレシートを部屋の数カ所に置いておき、いざという時にすぐに使えるようにしておくと安心です。顔や体をぶつけてもケガをしにくいように、トイレの角の部分は緩衝材などで保護しましょう。

・犬用おむつについて

愛犬がトイレに行けない場合などは、夜間のみおむつを使用すると飼い主の介護負担が減ることにも繋がります。おむつで排泄した後のケアは忘れずにしてください。

・トイレを設置するのに適した場所や環境

高齢犬に限らず、トイレは落ち着いて排泄できるように壁際や部屋の隅に設置することが基本です。

まとめ


理想的な排泄の方法は、愛犬と飼い主にとって負担がないことです。例えば自力で排泄ができること、決められた場所で排泄ができるとさらに良いです。習慣を身につけることや変えること、慣れることには必ず時間が必要です。焦らず取り組むためにも、少しでも早い段階でトイレトレーニングを始めることをおすすめします。悩んだらプロのサポートやアドバイスを受けることも、飼い主の負担の軽減に繋がります。家族皆が心穏やかに過ごすことが、愛犬にとっても何よりも大切なことなのです。
[文/渡辺 聡・構成/enkara編集部]

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