【犬のデンタルケア連載2】ドッグトレーナー監修「犬の歯みがきを始める前に習得したい」基本トレーニング(3ステップ編)

           

歯周病を予防するためには、歯ブラシを使った”歯みがき”が最も有効で大切です。しかしながら飼い主としてその重要性は分かっていても、多くの犬たちは歯みがきが苦手…。毎回、歯ブラシ片手に飼い主も犬たちもグッタリ、、、というご家庭も多いのではないでしょうか。犬のデンタルケア連載、第2回目はドッグトレーナー西村緑彩監修「歯みがきを始める前に習得したい」基本トレーニングをお届けします。これから歯みがきをスタートする方も、過去に失敗してしまった方でも大丈夫!大事なことは”焦らないこと” ”根気よく続けること”です。犬に歯みがきを受け入れてもらえるように、一緒にトレーニングをはじめましょう。〈PR〉

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歯みがきを始めるタイミングは”出来る限り早く”

歯みがきを始めるタイミングは、早ければ早いほど良いとされており、理想は仔犬の頃から始めることです。いずれ乳歯が抜けて永久歯に生え変わるから、と後回しにせず乳歯の頃からトレーニングすることをおすすめします。口や歯を触られることに慣れるまでには、相当な根気と時間が必要となります。早い段階で触られることに慣れさせておくことはとても大切なのです。
乳歯の頃に歯みがきが上手にできなかったとしても、歯周病になることはほとんどありません。犬が歯みがき(口を触られること)を受け入れる時間として、乳歯の期間を有効に活用しましょう。

大切なことは”焦らないこと”


歯みがきトレーニングのスタートは、成犬からでも十分に始めることができます。
トレーニングで最も大切なことは「焦らないこと」です。
飼い主の焦りや上手くいかないイライラは、ダイレクトに愛犬に伝わります。飼い主のネガティブな感情を察知した愛犬は不安や緊張を覚え、更に嫌がる悪循環となってしまいます。
歯みがきの時間は、飼い主と犬のスキンシップとして「落ち着いて安心できる時間」にしていきましょう。
1回のトレーニング時間は数分で大丈夫です。
1日2~3回と毎日少しずつ、2~3ヶ月かけて慣れさせるようなイメージで、根気よく続けていきましょう。

実践!歯みがきトレーニング「3ステップ」


トレーニングは、「1、座り方をマスター 2、口や歯に触る 3、歯ブラシに慣れる」の3ステップです。
散歩後や遊んだ後など、適度に体力が発散された状態でトレーニングを始めます。上手に出来たら落ち着いて褒めましょう。
褒め方のポイントは、穏やかな口調で褒めること。撫でながら褒めるのはケアが全部終わってから最終的に撫でるくらいに留めておき、それまでは言葉だけで褒めます。
興奮させずに、穏やかに落ち着かせることを念頭に飼い主の主導で進めます。
おやつなどご褒美との関連付けは、飼い主さんが過去に身体のケアで無理強いしてしまって嫌な関連付けをしてしまった犬に対してだけ使います。その場合、5mm程度に小さくカットしたおやつを準備し、歯ブラシとおやつをセットで認識させていきます。歯ブラシを見たらおやつをもらえるところからスタートし、犬の歯ブラシに対する苦手意識を少しづつ離していきます。

それでは具体的なトレーニング方法を見ていきます。

1.座り方をマスター

歯みがきをする際の理想的な座り方は、飼い主と愛犬が向き合う「正面に座る」状態です。奥歯まで見ることできるため最も理想的な姿勢と言えます。
最初のステップとして、正面に座っても落ち着いていられることを目標に、徐々にステップアップしていきましょう。このトレーニングではまだ歯ブラシは使いません
上手にできたら十分褒めてあげましょう。

1)後ろ向き
犬が後ろ向きの状態でお座りをさせます。
飼い主は、後ろから優しく撫でてリラックスさせ、この状態で落ち着いていられるように練習します。
小型犬は、水平を保った飼い主の膝の上でも良いでしょう。

2)横向き
小型犬の場合は、犬が横を向いた状態で抱っこします。
大型犬の場合は、犬が横を向いた状態で軽く抱いて支えましょう。
優しく撫でてリラックスさせ、横向きの状態で落ち着いていられるように練習します。

3)正面
いよいよ”正面”です。
飼い主と犬が向かい合った状態で、落ち着いてお座りしたままでいる練習なので、後ろ向きや横向きに比べて難しい姿勢です。
小型犬の場合は、飼い主の目の高さにお座りさせるようにすると、いざ歯みがきをする際に磨きやすくなります。(ソファーや安定した台の上で出来るとベスト)

2.口や歯に触る

姿勢を保つトレーニング同様に、嫌がらない程度に無理なく徐々にステップアップしていきましょう。このトレーニングではまだ歯ブラシは使いません

1)口に触る
いきなり人差し指で口を触ることは避けましょう。
まずは指ではなく”手”で顔や口を軽く触れることから始め、1回触れたら褒める、これを繰り返し行います。慣れてきたら手ではなく指でも触れるようにします。
どうしても顔や口を触られることを嫌がる場合は、触っても嫌がらない場所から、徐々に口に近づいていきましょう。

2)唇をめくる
次は唇をめくる練習です。
実際に歯みがきをする時にも必要なアクションですので、片方の手で顎を支え、歯みがきをイメージしながら行うと良いでしょう。
上下左右どちら側からもできるようにしましょう。
ここまでできるようになったら、次にやさしく口角を押し上げるようなイメージで、奥歯も見えるようにめくります。口を軽く耳側へ引っ張るようにすると奥歯が見えやすくなります。

3)歯に触る
口や唇を触られることに慣れてきたら、その延長として歯を触れるようにします。
はじめは犬歯や前歯から触ってみましょう
触り方は唇をめくるトレーニングと同じように唇をめくって触ります。
この時もまだ歯ブラシは使わず、指で軽く触れることから始めます。犬歯や前歯に慣れてきたら奥歯も同様に触ってみましょう。

3.歯ブラシに慣れる

犬にとって歯ブラシは見たこともない異物です。指で歯に触れるようになったからといって、急に口に異物を入れられたら当然嫌がります。焦らず徐々に慣れさせましょう。ここでも、1回できたら穏やかに言葉で褒めるの繰り返しです。

1)指でみがく(こする)
歯に触るトレーニングに加えて、指でみがく(こする)ことを練習します。
歯ブラシを使う前に、歯みがきシートやガーゼなどを指に巻いてみがくと良いでしょう。たるんでいたり、ヒラヒラしているとおもちゃと勘違いされてしまいますので、しっかりと指に巻いてみがきます。もしシートやガーゼを噛んで遊び始めたら、落ち着くように指示し飲み込まないよう冷静に取り出します。この時慌てて引っ張ると、尚更おもちゃと勘違いしてしまうだけでなく、シートを噛み切って飲み込む恐れもあるため注意が必要です。

2)歯ブラシでみがく
いよいよ歯ブラシの登場です!
歯ブラシのブラシ部分に指を添え、ブラシを隠して指に似せた状態で触ります。この時片方の手で顎を支えながら行うと安定します。指とブラシで交互に触っていき、犬に違和感を持たせないよう指でみがくトレーニングと同じように行います。
歯ブラシを噛んでしまう場合は、”歯ブラシで歯を触る・褒める” を繰り返しながら落ち着いて噛まなくなるまで根気よく続けましょう。

ドッグトレーナー西村緑彩からアドバイス


犬の身体のケアはとても大切です。
よく「お利口になったらやろうね」と耳にするのですが、しつけ的にはとても勿体無い時間なのです。
しつけをしてからケアを始めるのではなく、毎日身体をケアをすることがしつけの一環なので、ぜひ歯みがきも早めに取り入れて欲しいと思います。
(ただし身体のケアだけではなく、日常的に触ること自体に激しく抵抗するなどの問題がある場合は、もっとベーシックな部分での関係作りを経てからやっていただくことをお勧めします。)
今日より明日、明日より明後日の方が長時間できるようになった、嫌がらなくなった、そして結果受け入れてくれるようになった。
そうすると、全く関係のない「待って」が以前よりできるようになったとか、「ダメ」という言葉を聞き入れてくれるようになったと言う声も少なくありません。
オーバーに言えば”絆”が強くなります。
最初は我慢することですが、次に諦め、最終的に納得して様々なことを受け入れてくれます。
この段階が必ずあることを忘れずに、継続していくことの大切さを忘れないでください。
絆も強くして、歯にも良い。
一石二鳥の歯のケアを頑張っていきましょう!

まとめ


今回教えていただいた歯みがきトレーニングは、歯みがき手順ではなく飼い主と愛犬の信頼関係を築き、ストレスなく歯みがきができるようにするためのトレーニングです。
歯みがきのみならず、”犬が触られたくない場所を安心して触らせてくれるようになる” 。これは信頼関係に他なりません。また、愛犬を適正に落ち着かせることができる関係性も飼い主として必要なものです。
犬の歯みがきは、犬にとってのトレーニングではなく、飼い主がいかに焦らず愛犬が安心するまで待つことができるか繰り返しの練習です。
最後に、歯周病や口腔トラブルを抱えている犬は無理をせず、まずは獣医師に相談の上、その犬にあったデンタルケアを取り入れてください。〈PR〉

【プロフィール】

西村 緑彩 HAPPY FRIENDS代表|ドッグトレーナー
高校卒業と同時に、ドッグトレーニング施設へ7年間住込み就職。2003年HAPPY FRIENDSを独立開業。一般の飼い主様を対象にしたしつけ教室から、ドッグスポーツや、動物専門学校にて講師としても従事。飼い主さんと愛犬が「HAPPY」な関係に近づくこと、そのためのお手伝いができましたら何よりです。

[文・構成/enkara編集部]
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