登山から生まれる最高のパートナーシップ(元保護犬と新たな家族の物語)

           

#04_CHACHAMARU (TOKYO)
富永 祐太さん・茶々丸くん

私は、1枚の写真に目が止まり、そしてその世界観に夢中になりました。ふたりの美しい姿に息を飲み、はじめて言葉になった想い。犬と共にこんなにチャレンジをしている人が日本にいるなんて・・・それが初めて感じたふたりの印象でした。山が美しい、風景が素晴らしい、絶景である、その言葉以上に表現しきれない、見ているだけで勇気をもらえるふたりの姿に胸がいっぱいになりました。ソフトな印象の祐太さんと共に現れた茶々丸は、脚がスっと長く、シャープで凛々しい印象で、引き締まったその体はさすが”登山犬”という名にふさわしい体格。祐太さんはパートナードッグの茶々丸と共にほぼ毎週末、登山を楽しんでいます。今回は、互いにリスペクトをし、チャレンジを続ける登山犬茶々丸と家族の物語をご紹介します。

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元保護犬 茶々丸(ちゃちゃまる)のこと

2014年11月生まれ(推定)、MIXの男の子。現在4歳(2019.5時点)
千葉県柏市にある施設内に付属病院も併設するNPO法人動物保護団体から、推定生後2〜3ヶ月、3回目のワクチン接種の前に祐太さんの家族になりました。元々、登山が好きだった祐太さんと成犬になった茶々丸は、共に単独登山で様々な山に登る楽しみを知っていきます。最近は、多くの登山仲間たちも増え、仲間たちと共に登山にチャレンジする日々を送っています。

保護犬を家族に迎えようと思ったワケ

ー 犬との暮らしを始めたいと思ったとき、そこにはどんな気持ちがあったのですか?

「僕は登山を始めた頃からSNSを日常的に活用し始めたのですが、繋がっている方で保護犬の情報を定期的に公開してくれる方がいて、SNSを通じて目にする機会が自然と多くなりました。そこで保護犬の現状を知るようになって、モヤモヤとする思いが生まれてきて____犬と暮らす!と決めてからは早くて、1週間経たずに茶々丸は家族になっていました。」

ー なぜ、犬との生活を始めたいと思った時に保護犬との暮らしを選んだのでしょうか? また、どのように保護団体との巡り合わせがあったのでしょうか?

「僕が学童期の頃、実家で迎えた犬も保護犬だったこともあり、犬を迎えるのであれば保護犬をというのは、当たり前のように考えていました。保護団体を自宅の近隣で探しましたが、行政や自治体が運営している施設しかなく、そこは犬の譲渡数よりも待機中の家族が多いと聞き、それなら、僕はここで待つのではなくて、家族を探している犬たちが多いところから迎え入れたいと思い、探してたどり着いたのが茶々丸との出会いをいただいた《ライフボード》でした。」

ー 犬との暮らしを始めたいと思ったとき、そこにはどんな気持ちがあったのですか?

「僕が到着すると、施設の方が何頭かの犬たちをゲージから出してくれました。他の犬たちはその部屋をクンクン確認している中、ビビりながらも真っ先にトコトコと僕のところに来た犬_____それが茶々丸です。この瞬間、『この犬にしよう!』そう決めました。譲渡に際しては、正式譲渡の書類に記入をし、当日その場で面談と複数の確認を受け、医療費をお支払いして、茶々丸を連れて帰る流れでした。希望があればトライアル期間を儲けることも可能ですが、その期間を作らずに即日譲渡もできたので僕は後者を選択した形です。」

”保護犬”という存在を知っているので、保護犬を迎えたい!

ー 仔犬からミックス犬を迎えるということで成犬になった時のイメージが湧きにくいと思うのですが、その辺はあまり気にならなかったのでしょうか?
「僕はその辺をあまり重要視していないんです。成犬になった時に大きくなっても、小さくても何も問題はなくて____例えば、憧れの犬種はもちろんありますけど、だからといってブリーダーへ行って迎えようと思いません。”保護犬”を知らない人がまだまだたくさんいるこの時代、僕は”保護犬”という存在を知っているので、保護犬を迎えたいと思うんです。今後もずっと犬を迎える時は保護犬を迎えますし、どんな犬種か、大きさなのかということよりもそこを大切に考えています。」

ー 仔犬の頃に祐太さんに出会い家族になった茶々丸。幼少期のトラウマや嫌な思い出などの経験はあまりないのでは?と聞いたところ、家族になった頃と4年経った今、その違いはいくつかみられるようです。性格や様子の変化を教えていただきました。

「仔犬の頃は、実は人に対して警戒心が強くビビリだったんです。頭も撫でられるのがあまり好きではなかったですね。以前お会いしていた山仲間さんに最近会うと『すごく性格が変わったよね』と言われます。当時は確かに臆病な面もありましたが、今では人に馴れた事もあって全く変わりました。登山を始めた最初の3年くらいはソロが多くて8〜9割は茶々丸と僕だけで登山をしていましたが、その間、犬と共に登山をしているという事もあって、皆さんに声をかけていただいたり、撫でていただくことも多かったのでそれが社交的に変化した理由かもしれないです。」

ー 八ヶ岳の冬山バリエーションルートもこなす茶々丸くん。彼は一体どんな性格なのか?そして、ちょっと意外な苦手なことも___

「実は、普段は甘えん坊なんです笑 寝るときも一緒に寝ていますし、四六時中僕について回ってます。初対面ではなかなか甘えることはないのですが、何回か会うと慣れていって、自分で尻尾を振って寄っていったり、甘える姿もあります。苦手なことは、お風呂です。お風呂の時間を察すると目を合わせなくなります笑所謂、お水が苦手で、山の川も自ら進んで入ろうとはしないですね。今の季節は雪解けでだいぶ体が汚れてしまうのでたまに川で洗うんですけど、すごく嫌な顔をしています笑 でも山の川の水は美味しいみたいで良く飲みます。」

ふたりでソロ登山に目覚め、その先にあった驚きの成長と感動

ー 茶々丸が家族になる少し前から登山の楽しさに目覚め始めた祐太さん。茶々丸と共に登山をするきっかけは?登山に対しての茶々丸の反応も聞きました。

「茶々丸を迎える時は、犬と一緒に登山をする日が来るとは思っていませんでした。ある日ふと『茶々丸は足が長いからひょっとすると一緒に山を登ることができるのではないか?』と思ったことがキッカケです。最初は初心者が登るような山でも補助が多かったですね。今じゃ全然、逆に補助してもらうレベルですけど笑 茶々丸は、本当に登山が好きで、僕がザックを取り出して登山の準備を始めるとそわそわし始めます。アスファルトの道を散歩するときよりも山での登山の方が生き生きとしています。」

ー そんな祐太さんは、茶々丸との出会いで登山への意識にも変化が

「茶々丸が来るまでは、2ヶ月に1回くらいのペースで山に登っていて、自分のレベルも意識も今とは違いました。でも、茶々丸と共に登山をするようになってから毎週末ビバークや車中泊をしながら山に行くようになって、ふたりで共に成長してきたんだなって思います。

僕たちの登山は、ロープで僕と茶々丸を繋いで共に登るスタイルです。ビレイっていう山岳ガイドがやっている”人と繋がって登る登り方”を起用していて、僕は両手でロープを操作しながら登っています。なので、片手、もしくは両手が常にふさがった状態で登ります。そもそも、そのスキルも全くなかったですし、今は茶々丸を連れて、さらに人を連れていくことができるくらいにまで気がついたらスキルアップしてましたね。

今年の冬は、八ヶ岳バリエーションルート(地図には載っていない登山ルート)に挑戦をしました。阿弥陀岳中央稜に結果的にふたりで行くことが出来て、茶々丸は胸まで雪に埋まる中、自分で雪をかき分けて進んでいましたね。感動的な経験でした。」

犬から教えてもらった人生で大切にしていること、そして、その理由

ー 茶々丸から何を教えてもらいましたか?

「時間を大切にすることですね。理由は、時間軸が犬と人間は違うからです。犬と共に登山をしていて良いなと思うことは、家にいると一緒の空間にはいても、一緒に同じことをできる時間は少ないですよね?でも、山にいるときは、向かう先も同じでやっていることも同じ、長い時だと12時間以上登山をするので、一緒に同じことができる喜びは大きいですね。そういう時間を大切にしたいなと常に思います。15〜20年と言われる犬の寿命を考えたとき、人間と違って、こうして一緒に過ごす時間の流れが早くて、限りを感じます。先代の犬と暮らしているときは、そういう時間軸のことは理解できていなかったと思うし、犬との時間が貴重だっていうことも僕がまだ小さかったこともあってわかっていませんでしたが、それが今は大切で尊いことだと気が付きました。」

ー 茶々丸と一緒に過ごしている時以外にも自分の人生として限りある時間を大切にしたいと思うのでしょうか?

「そうですね。”大切だからこそ無駄なことはしたくない”っていう思いなんです。ぼーっと過ぎていく時間はあまり作りたくないです。週末の休みを休むことに専念してしまったら、自分の人生は仕事が100%あった上でのスタイルだと思ってしまいますね。なので、時間の使い方や方向は日常的に大切にしています。でもこんな風に考えるようになったのは、茶々丸が来てくれてからなんですよ。ひとつひとつの関わりと時間を大切にしてきたいなと思います。」

茶々丸と共にこれから先目指したいチャレンジ

ー 2人の関係性の中で、大切にしていることはありますか?

「茶々丸との関係性の中では色々とありますが”お互い自慢し合えるような関係性でありたい”っていう思いがいつもベースにあって、僕は茶々丸にいつもかっこよくあって欲しいですし、茶々丸にもそう思って欲しいです。様々なSNSをしている理由にも繋がっていくのですが『こんなかっこいい犬も元保護犬なんだよ!』っていうことを広めていきたくて続けています。保護犬っていう存在を知ってもらいたい!ということもあっての”カッコイイ茶々丸”であって欲しいです。」

ー 今まで共に過ごす時間の中で心に残った瞬間はどんな時ですか?

「今年の冬は本当に驚くような山に共に登れて『こんなところにも登れるようになったんだ・・・』と感慨深い瞬間が多かったです。夏山は犬にとって暑いので、また涼しくなる頃から本格的なチャレンジを考えていますが、今年行こうと思っていて行けなかった山にも挑戦をしてみたいと思っています。バリエーションルートも行ってみたいところが何箇所かあるので楽しみにしています。」

ー 人だけで登山をしていた時と、茶々丸と一緒に登るようになってからはどのような変化がありましたか?

「ただただ本当に楽しいですね!僕は実はあまり下山が得意ではなかったこともあったのですが、登りからくだりまで全部楽しめるのは、茶々丸のお陰です。以前は、山頂の景色が目的だったのですが、それが目的ではなく登山の楽しみが広がったことが大きな変化だと思います。」


編集部です。犬と暮らすキッカケは「犬と一緒に何かしたい!」という思いからではなく、保護犬の現状を知り、その課題感から生まれた想いだった祐太さん。茶々丸を迎えてからふたりの人生は共に想定外なほど高く広く繋がって行くことに・・・今回、ふたりのストーリーを聞きながら、私は”信頼と尊敬”の意味を教えていただいたような気がします。共に困難を乗り越える中で得た強い絆は眩しさを感じるほどでした。ふたりはきっと、これからも喜びも苦労も共にし、心に残る美しい景色を肩を寄せ合い感じるのでしょう。その挑戦を心から応援し、発信を楽しみにしています。祐太さん、茶々丸くん、ご協力をいただき誠にありがとうございました。

 yuta.tominaga.and.chachamaru

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VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

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