新型コロナウイルスの影響を受けて、東京都獣医師会は、犬たちの被毛に付着するウイルスをシャンプーで洗い流すことを推進しています。今回のウイルスは、現時点では界面活性剤で不活化することが発表されていることが理由です。いつもは、シャンプーをグルーミングサロンでお願いしている方も多いかと思いますが、今まで以上に衛生を保つために時にはホームシャンプーも有効だと考えます。とは言っても、犬のシャンプーって改めてどのようにすればいいのだろう?今回はシャンプーのプロ、グルーマー安部まゆこさんからレクチャーを受ける写真解説付き「犬のシャンプー方法」決定版です!
一番大切な基本は、身体をしっかり濡らすこと
自宅でのシャンプーは、私たちグルーマーからすると本当は歓迎しません。なぜなら、洗い方次第では皮膚病を誘発したり、かさついたり毛がもつれたりすることもあるからです。そして、シャンプーが嫌いになる原因も飼い主やグルーマーの頑張るシャンプーです。とにかく頑張らない、楽しく、無理なく…シャンプーは、気持ちの良いものです。温かくて、気持ち良くて、サッパリします。その気持ちは犬たちも同じです。そのために、今回は無理をしない簡単で完璧なホームシャンプーをレクチャーします。
<用意するもの>
●アミノ酸系シャンプー(コンディショナー)
●シャンプーの泡立てネット
●シャンプー泡立て用の深めの容器(子ども用お砂場遊びのバケツサイズ)
●タオル
●ドライヤー
●ベビーバス(小型犬のみ、大型犬はバスタブを代用)
よほどのもつれがない限りシャンプー前のブラッシングは不要です。毛の根本まで濡れないとシャンプーできません。そのため、シャワーで濡らすだけではなくバスタブを使い、犬の肩より上までお湯にしっかりと浸けてください。この時の湯温は、37度くらいのちょっとぬるいかも…程度が理想的です。
泡立てたシャンプーを乗せて泡で包むように洗う
シャンプーを泡立てるために準備したバケツ型容器に、シャンプーを小さじ1杯ほど入れて泡立てネットでモシャモシャと泡立てます。ポイントは、少しお湯を加えること。よく泡立てたシャンプー液を全身にまんべんなく乗せます。ここからはポイントを写真解説をします。
2度目のシャンプーの際、バスタブに泡を立てて、その泡をかけ流す方法もあります。大人しい犬は効果的です。
洗い流す時のシャワーヘッドの使い方
シャンプー液は、しっかり洗い流します。高いところからシャワーをかけることのないように、必ずシャワーヘッドを犬の身体にピタッと付けて使います。ポイントは、「シャー!!」という音が出ないように流すこと。そうすることで、しっかりとシャンプー液を洗い流すことができます。
コンディショナーはいらない?!
次のステップはコンディショナー。ただ、基本的にはコンディショナーをしなくても大丈夫です!長毛で絡みやすい犬に限りコンディショナーを使用します。量は100円玉大(数滴)に2リットル以上で希釈してコンディショナー液を作って掛け流し、最後はしっかりと洗い流します。しっかり洗い流しても、必ず流し残しがあります。特に足の内側…。その回避のために、最後はバスタブにお湯を溜めて、完全にコンディショナーを流してください。コンディショナーは、人間の感覚だと頭にかけるイメージですが、くれぐれも首から上にはかけず、耳の毛が長い犬に限り、耳の毛部分のみ丁寧にコンディショナー液を掛けてください。
コンディショナーは、シャンプーよりも毒性が強いです。目に入ってしっかり洗い流せてないと数日後に炎症を起こす可能性があります。
毛の根元が放射状に広がるまでしっかり乾かす!
いよいよドライへ移行します。まずは、タオルドライ。その後、ドライヤーを使ってしっかりと乾かしていきます。今回は、家庭用のドライヤーを使用し、時間を計ってみましたが、Mダックスロングコートの犬を乾かす所要時間は10分程度でした。毛量の多い犬種でも小型犬なら20分以内で乾きます。また大型犬は、30〜40分程度を目安としてください。乾いたサインは、右の写真のように毛の根元が放射状に広がることです。きちんと洗い、乾かしていないと雑菌が繁殖して皮膚病の原因につながりますのでここでしっかりと乾かして下さい。
シャンプーの選び方と犬種別のポイント
シャンプーの種類は、アミノ酸系をお勧めします。石鹸系は、一般の方には使いにくいという特徴があり、また、リンスinシャンプーがホームセンターなどで販売されていますが、避けた方がベストです。薬用シャンプーは、私たちプロでも扱いが難しいので、動物病院で処方されてもシャンプーはプロに任せることをお勧めします。
最後に、犬種別のポイントをお話しします。プードルは、洗って乾かすだけだとプロのようにフワフワにはなりませんが清潔にするという目的ならホームシャンプーも良いと思います。ダブルコートの犬もシャンプーの流れは同じです。ただ、最初のお湯で”流す浸ける”という作業が大変なので、浸ける時にバスタブに張ったお湯にシャンプー剤を少し入れて、薄めのシャンプー液ではじめにお湯を浸透させるのも良い方法です。
とにかく頑張らない、楽しく、無理なく…犬も人も気持ちの良いシャンプー時間を。
[文/安部 まゆこ・構成/enkara編集部]