日々、犬のブラッシングをしている方は多いかと思います。私もその一人です。ある日、ブラッシング中にふと思いました。「毎日のようにしているけれど、このブラッシング方法は果たしてあっているのだろうか?」そこで早速、ドッググルーマーの安部さんにブラッシングのポイントを伺いました。教えていただいたことは、改めて知らないことばかり・・・あまりにも無知にブラッシングをしていたことを知りました。入念にブラッシングをするところ、そして嫌がらないコツやブラッシングの方法をご紹介!今回も、またひとつアップデート!飼い主としてもっと犬たちに心地よく気持ちの良い時間を届けたいですね。
人間と犬は毛のもつれ方が違う
犬のケアで飼い主さんが一番に考えることはブラッシングかもしれません。少し想像してみてください。例えば海へ行って泳いで、砂浜で遊んでジャリジャリになって、汗もたくさんかいたのに髪の毛を洗わずに家に帰ってきたとします。でも、家でそのままシャンプーをして、いつもより多めにトリートメントを使って洗い流せばすぐにサラサラになります。ところが!実は、犬はそうはいきません…
例えば同じ状況になった長毛犬種だったら…
毛に絡んだ砂を落として、さらに絡んだ毛を根気よく梳かしてからシャンプーをしないと大変なことになります。
もし、そのままの状況でシャンプーしたら…ほとんどもつれてしまいます。
犬の毛は、濡らして洗ってトリートメントすればほどけるのではなく、さらに固まってもつれがひどくなるのです。そのくらい、人間と犬は同じ毛でも毛のもつれ方が違います。
入念にブラッシングが必要なところは?
犬はシャンプー前に優しくブラッシングすることがとても大切です。
もつれていなければブラッシングは必要ありませんが、シャンプー前のブラッシングはコミュニケーションのひとつにもなります。
なので、ブラッシングは心地の良いものでなければいけません。
みなさん、一番毛がもつれるところはどこだと思いますか?
ほとんどの飼い主さんは、背中や尻尾、耳をとかします。ところが、一番もつれるところは、足なのです。特に、毛の伸びる犬種、カットが必要な犬種は、まず日々のブラッシングで足のブラッシングを重点的すると良いでしょう。ただ・・・ブラッシングで、一番嫌がるところも足です。
嫌がらないようにするポイントは、
●引っ張らないこと
●ブラシのピンを皮膚に当てないこと
要するに痛くないように配慮してあげることです。
実際にブラッシングをしてみましょう
ブラッシングのポイントは、毛の根本(根元の皮膚)を見ながら少しづつ少しずつ梳かすことです。では、実際にブラッシングをしてみましょう。
まず抱っこをして膝の上に乗せます。お腹を見せて・・・優しくはじめましょう。まずは足から。後ろ足の内側を足先の方から横一列1センチづつ腿に向かってゆっくりブラシを動かし梳かします。大変な場合は1日1脚づつ、それでも4日間で全ての足のブラッシングが終わります。
次は、背中とお腹。片方の手のひらで身体を優しく押さえながら1センチづつ。ここでも根元を見ながらゆっくりゆっくりブラッシングをします。
引っ掛かったらブラシをはずします、絶対に引っ張らないことを心がけてください。
耳の毛は、毛先の方がからみやすいので、毛先の方から少しづつ上に向かって丁寧に梳かします。最後に、耳の付け根からサーっと梳かしてみてください。スーーーっとブラシが通ります。脇の下もからみやすい部位です。まずは、無理なく指で細かくほどいてからブラッシングをはじめます。グルーマーの場合、脇の下のもつれは梳かすと痛いのでカットして仕上げています。
毛が長くなるシングルコートの犬種、主にプードル、マルチーズ、ヨーキー、チワワなどは大きな毛玉がなければこのフローで綺麗になります。
短毛犬種は、夏場の紫外線に気をつけてあげてください。毛に守られていない彼らの皮膚はとてもデリケートでアレルギーやトラブルが多い特徴があります。ブラッシングに関しては、ラバータイプブラシで気持ちよく。
抜け毛も取れてマッサージ効果も期待できます。
ダブルコートと大型犬のブラッシング方法
柴犬、ポメラニアン、コーギーなどのダブルコートの犬種は、ブラシにアンダーコートが取れたら、その都度その抜けた毛を外してきれいなブラシでとかすことが重要です。
同じように1センチづつ下から上に尻尾の方から首の方に向かって、根元を見ながらかけ分けて梳かします。ブラシで梳かした後、コームを通すとさらにきれいに梳かすことができます。ダブルコートの犬は換毛期にかなりの抜け毛があります。犬は汗をかきませんが蒸れ易くなるので、皮膚のためにもシャンプーの時だけでなく、定期的にブラッシングをしてあげた方が気持ち良いと思います。
大型犬になるとブラッシングをする範囲も広くなるので大変ですが、1回で全身を仕上げようとせず、毎日違う部位を3日おきでも少しづつブラッシングすると良いでしょう。
いちばん大切なことは気持ちよく心地よく
最後に、毛玉やもつれが出来てしまったら、無理せずプロに任せてください。激しく嫌がる時は無理せず怒らず中止してください。グルーミングサロンへ行く前に、一生懸命ブラッシングをすることはありません。痛がることをお家でし続けると犬との信頼関係を失います。
あくまでも気持ちの良いこと、心地良いこととしてブラッシングをしてあげてください。私たちグルーマーは、飼い主さんが無理をすることが一番困ります。グルーミング時間が嫌になること、イコールブラッシングも嫌なことになります。ぜひ、無理せずに少しづつ短い時間のブラッシングを心がけ、コミュニケーションとして健やかなケア時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。[文/安部 まゆこ・構成/enkara編集部]