犬を家族として迎えた後、避妊・去勢手術を受けるケースは全体の約49.6%*(2017年)と近年その割合は増加傾向にあります。また、保護犬を迎える場合、必ず手術を受けるという規約を設ける動物保護団体も多く、家庭での安易な素人繁殖を防ぐだけではなく、愛犬の病気の発症リスクを減らす目的もあり、避妊・去勢手術を受けることはスタンダードになりつつあります。今回は、手術の是非という論点ではなく、手術を受ける際に役立つ、自治体より受けられる”不妊手術助成金”を全国一覧リストでお伝えします。
日本のスタンス
自治体から助成金を受給するにあたり、避妊去勢手術について日本のスタンスを知ることからはじめたいと思います。
現状、法律としては、「動物の愛護及び管理に関する法律(第37条)」において、所有者がみだりな繁殖を防ぐための措置を実施することについて努力規定が設けられています。
また、同法(第7条 第4項)に基づき定められた「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)」では、原則として去勢手術、避妊手術等その繁殖を制限するための措置を講ずることとされています。
このことから、日本は犬の避妊去勢手術に対して前向きなスタンスということが分かります。また、日本獣医師会調べによると動物病院の約96.1%*が犬への避妊去勢手術を推奨しているという実態もあります。※2017年度
犬の不妊手術助成金一覧(全国版)
飼い犬登録を済ませたあと、多くの飼い主が避妊去勢手術を受けることができるように助成金制度を設けている自治体があります。
お住まいの自治体が該当するのか上記リストより確認の上、申請のご相談を。
また自治体によっては、保健所や動物愛護センターから犬の譲渡を受ける際、センター内で手術を行ってから譲渡となる場合も多く、動物保護団体も独自の助成金を受けられるケースがあります。
<参考資料>
公益社団法人日本獣医師会及び 一般社団法人ペットフード協会による実態調査
環境省 犬・猫の引取り等手数料及び避妊・去勢手術助成金
まとめ
その犬に避妊去勢手術が必要なのか否かを決めるのは飼い主です。
手術を受けたいと決めた時に、受給することができる助成のことを多くの方が知ることで、その判断の後押しになるかもしれません。
また、一般家庭だけではなく、避妊去勢手術後に犬の譲渡を行う動物保護団体は、活動地域の自治体から助成金を受けることで、新しい飼い主への医療費実費負担も削減することが可能になり、より譲渡促進につながるでしょう。
現在、さまざまな地域で野犬問題が多発しています。そのことを考えた時にも、今回、愛犬の避妊去勢手術を多くの飼い主が自分ごととして今一度考える機会となることを願います。