クスノキ科ニッケイ属の内樹皮から取られる香辛料、シナモン。『シナモンを犬に与えるのはあまり良くない』こんな記事を見かけたり、話を聞いたことはないでしょうか。これは「一部は事実」ですが、それだけで決めつけてしまうのは、大変勿体ない事です。シナモンから得られる様々な素晴らしい効能と、シナモンが犬や猫に良くないと言われる理由について合同会社ナパーニジャパン代表加藤氏が根拠を元に詳しく解説します。最新の情報にアップデートしましょう!
シナモンは種類によって成分が大きく異なる
シナモンを摂取することで問題となるのは「クマニン」という成分です。クマニンは、肝機能障害をもたらすとされており、多量摂取には注意が必要です。そのため、「犬や猫には、シナモンを与えてはいけません!」と多くの情報が出回っています。しかし、シナモンには大きく分類して「セイロン」と「カシア」の2種類があります。そして、その2種類のシナモンは、クマニンの含有量が全く違います。
・セイロンシナモン 平均 13.7 ppm
・中国産カシアシナモン 平均 3257.5 ppm
・ベトナム産カシアシナモン 平均 5425.0 ppm
このように、クマニンの含有量には、シナモンの種類によって非常に大きい差異があるのです。そのため「どの種類のシナモンを使用しているのか」が大変重要になり、シナモンがダメとは一概に言えません。
クマニンの含有量を紐解く
BfR(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所)が定めたクマニンの1日あたりの摂取許容量(TDI)は、0.1mg/kgです。この情報を基に、ナパーニのサプリメント「ヴィタールミックスビオ」に含まれるシナモンの量とクマニンの含有量を計算してみます。まず、ナパーニが使用しているのは、非常に基準が厳しいドイツのオーガニック認証(BIO認証)を取得した「セイロンシナモン」です。安価でクマニンの含有量が多い「カシア」は一切使用しておりません。そして、「ヴィタールミックスビオ」のシナモンの配合量は5%です。例えば「ヴィタールミックスビオ」を5kgの犬に与える場合を例に考えてみましょう。5kgの犬の「ヴィタールミックスビオ」給餌量は1日5gのため、シナモンの量は0.25gとなります。セイロンシナモン0.25gのクマニン平均含有量は、13.7ppm。そこから計算すると、5gのビタールミックスビオに入っているクマニンの量は、0.003425mgとなります。この数値は、1日に摂取できる安全なクマニンの許容量に対して、わずか146分の1の量です。よって、懸念されておりますクマニンによる肝臓への悪影響は全く問題ないと考えます。
シナモンの素晴らしい効果
心配される副作用については、科学的根拠をもって安心していただけたかと思います。そして、ここからが肝心な情報です。なぜサプリメントにシナモンを採用したのか?それは、下記の通り素晴らしい効能が期待できるからです。
1.心臓の健康を改善
「Journal of Animal and Veterinary Advances」に掲載された研究レポートでは、シナモンを摂取すると犬の心臓の働きが改善されることが示されました。
2.炎症を軽減
犬にとって、シナモンの最もよく知られている利点の一つは、その抗炎症作用です。炎症を抑えることにより、シナモンは心臓病やがんなどの多くの症状を緩和するのに役立つ可能性があります。さらに、炎症による痛みを和らげ、腫れを抑え、筋肉痛を和らげる効果も期待できると言われています。
3.脳機能を高める
シナモンには強力な抗酸化物質が豊富に含まれており、人間や動物を神経障がいから守る働きをします。シナモンを摂取すると、早期老化や細胞損傷を引き起こす酸化ストレスから脳ニューロンを保護することが示されています。
4.免疫力を向上させる
シナモンには抗菌、抗ウイルス、抗菌、抗真菌効果があります。毎日シナモンを摂取すると、感染症と自然に戦うことで免疫機能を高めることができると言われています。
5.口腔衛生を高める
シナモンには抗菌特性があるため、犬の呼吸を改善し、虫歯、口内感染、口内炎、その他の歯の問題と戦うのに役立ちます。
6.血糖値の安定化
スパイスには抗糖尿病効果があります。血糖値を下げ、インスリンに対する感受性を改善することが知られています。これは、いくつかの消化酵素の活性をブロックすることにより行われ、それにより炭水化物を多く含む食事の後の血流中の糖の吸収を遅くします。犬が糖尿病にかかっている場合は、治療効果のために食事へシナモンを加えることもご検討いただきたい要素です。
まとめ
シナモンを犬に与えるとき、重要なポイントは下記の通りです。正しい知識をもとに、棲み分けて考えることで、素材が持つ素晴らしい効能を犬たちへ還元することができます。
シナモンの種類は、必ずセイロンシナモンであることが大切。
悪影響が心配されるクマニンの1日あたりの摂取許容量(TDI)は、0.1mg/kg。
シナモンには、非常に多くの効能が認められ、欧米の最新の研究ではセイロンシナモンを少量取ることはむしろ推奨。
出典:東京都健康安全研究センター“シナモン含有食品中のクマリンについて”(参照2021- 4-20)PDF
[文・構成/enkara編集部]
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