ペットカートに乗ったまま公共交通機関に乗れないって本当?? 〜ルールとマナーを再確認〜

ここ最近、犬と暮らす人々の間で定着してきた「ペットカート」や「ペットバギー」(以下、「ペットカート」)。人それぞれ使用の目的や使い方は違いますが、至る所で見かけることが多くなりました。シニア犬や歩行困難な犬と飼い主にとっては、散歩や外出する手段としてペットカートはとても心強い存在です。また、ペットカートを利用することで、愛犬と一緒に入店できる施設も多く飼い主にとっては非常に便利なグッズでもあります。
しかし、残念なことにペットカートやバギーが使用禁止になってしまった場所も事実として増えています。その理由はどこにあったのか?今回は、あくまでも私たちの視点からその背景や問題点をお伝えし、皆さんと一緒に考えて行動に繋げていきたいと思います。

SPONSORED LINK

再認識!ペットカートに乗ったまま公共交通機関に乗らない

愛犬と一緒に ”お出かけしたい!” ”旅行に行きたい!” 飼い主ならば誰しもが思うことですし、ペットカートを購入するきっかけの1つだったという方も多いのではないでしょうか。
遠近問わず”公共交通機関”に乗ることを想定して検討される方も多いように感じます。
しかし実際には、ほとんどの公共交通機関ではペットカートに犬を乗せたまま乗車することはできません。
そもそもペットカートに限らず犬と共に乗車するには、バス・電車・新幹線・船・飛行機、各社それぞれに規則やルールがあります。利用する機会の多い鉄道と飛行機を例にどのようなルールが設けられているのか見ていきたいと思います。

1−1 電車・新幹線(JR旅客鉄道各社)

鉄道の場合、他の乗客との距離も近いことから動物が苦手な方へ配慮されたルールが多くなっています。JRではペットと同乗する際の規則を旅客営業規則第309条に定めており、この規則に加え、公式サイト上に掲載されている注意事項も含め要約すると、下記の内容になります。
これは在来線の他、新幹線に同乗する際も同じです。

動物専用のケースに入れる
・犬の顔や手足が出ることのない、”全身が完全に覆われる入れ物”に入れること
・犬を抱いたまま、または動物専用のケースではないバッグに入れた状態での利用不可
・布状で形態が固定しないもの(ドッグスリング等)については全身が入っていても利用不可
ケースのサイズ制限
・タテ×ヨコ×高さの合計が120センチ以内
・ケースと犬を合わせた重さが10キロ以内
・一般的なペットカートの場合、規定サイズの制限を超えるため持込み不可
・ケース部分とフレーム部分が分離できるタイプの場合、共に規定サイズ制限内であれば持込み可
その他注意
・乗車する駅の改札口などでケースを見せて、普通手回り品きっぷ購入の上乗車
・ケースがサイズ制限内であっても、カートの形状や混雑状況などにより、他の乗客に危害を及ぼす恐れや迷惑となる恐れがあると判断された場合は持込み不可

1−2 飛行機(国内線 全日空)

国内線の場合、一部を除き犬と共に客室に搭乗することはできないため、貨物室での預かりとなります。そのため、ルールの多くは動物の健康や安全面を考慮した内容が大部分となっており、特にケージ(クレート)の規格については厳格なものになっています。今回はケージの規格のみを適宜抜粋しています。

ペットケージの規格 IATA(国際航空運送協会)の規定に適合したケージ
硬いプラスチックや金属など、強度のある素材で作られた頑丈で屋根がついた航空輸送に耐えうるケージ
布製のキャリーバック不可
側面に換気用の窓が備わっているのなど、通気性のあるもの
ペットがケージの中で立つ、座る、寝そべる、回転できるなど、十分に動けるスペースがあるもの
犬はペットケージ1個につき1頭まで可能

現在、様々な形状のペットカートが販売されていますが、あたかも「電車に乗れる」「飛行機に乗れる」といった誤解を招くような表現をしている広告等も、残念ながら見受けられます。
出発当日になって犬が乗車できないなどのトラブルを回避するためにも、またマナーやルール違反を繰り返さないためにも、公共交通機関に犬と同乗する際は必ず利用する会社の規定を確認し、正確な情報を正しく認識した上で使用しましょう。

今までどんな問題があったのか?

ここまででペットカートに犬を乗せた状態で、電車や新幹線に乗車できないということがお分かりになったと思います。しかし、これは現在の一般的なルールであり、数年前まではペットカートが認知されていなかったこともありますが、犬を乗せた状態でも乗車が可能だった鉄道会社も多くあったのです。
では、なぜペットカートが全面的に使用禁止になったのか___これは紛れもなく、動物が苦手な人に対しての”配慮”を欠いた行動、即ち”飼い主のモラルの低さ”も原因だったと考えられます。

ペットカートの蓋(カバー)を外し犬の顔や身体が外に出ている
吠える犬を制止しない、できない
最低限のトイレマナーやトレーニング不足
ペットカートで通行を妨げる

このような行動は、犬と暮らす私たちにとってはある程度は許容できることでも、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方にとっては耐えがたい行動です。
大部分の飼い主は配慮を心掛けていて、こうした行動をとっていたのは一部の飼い主だったかもしれません。しかし例え一部だったとしても、他の乗客の方々にとって我慢できない致命的な行動があったことは安易に想像できます。
ペットカートが禁止になった今もなお、飼い主のモラル低下が続けば、ペットとの同乗そのものが禁止になるかもしれません。
電車だけではなく普段の生活においても、知らず知らずのうちに周囲に迷惑をかけていないか、今一度、自分事として考えてみることも大切です。自分だけなら〜という考えは結果、犬の自由を奪います。

なぜ?海外では犬と一緒に乗車できるのか

「海外では犬と乗車できるのに日本は、、、」と比較されることがありますが、日本とペット先進国と呼ばれる国々では、犬に対しての認識や習慣、歴史的な背景や文化が大きく異なります。
以前の記事【公共交通機関へ乗車できない日本の犬たちの本質的な問題と課題〜その為に私たち愛犬家ができること〜】でも述べた通り、ペット先進国では「飼い主がしつけ方を学ぶため」にドッグスクールへ通うことが一般的です。
飼い主が愛犬の行動に対する責任を持っていることは、犬と暮らしていない人々にも広く認知されています。犬という種を尊重して学び、犬として理解した上でルールやマナーに従い共に暮らす背景が社会全体にあります。

一方、日本における鉄道でのペットカートの使用に関しては、「ベビーカーは良いのになぜペット用はダメなのか」と言う議論をよく耳にします。
大前提として、”犬は人間ではない”からです。
人間が創った社会で暮らしている以上、犬と暮らす人もそうでない人も含めた社会全体として、犬を受け入れる理解と体制が必要です。
擬人化せずに ”犬”と暮らしているということを飼い主が理解と認識をして、犬の社会化トレーニングを実践していくことが、ゆくゆくは犬を受け入れる社会を作っていくことへ確実に繋がっていきます。飼い主の意識がとても重要です。

気持ちよく歩くことを大切に

そもそも日常的に”歩く”ということは健康な身体作りに必要不可欠です。
また、体全体を動かすことになるので筋肉をほぐす効果もあり、成犬期にたくさん歩くことが、シニア期の筋力に繋がります。ご存知の通り、犬の時間の流れは人間に比べてとても早いものです。元気な時に、少しでも長く歩くことを意識することは、将来的に愛犬にとって大切なことです。

ドッグトレーナーコラムを寄稿していただいている西村緑彩先生の記事“犬との散歩”が大切な4つの理由〜犬と共に歩く意味〜】でも仰っているように、「リードをつけて歩く散歩は、リーダーシップを取るのにとても影響力のある行動」になります。
また、歩くことで五感の刺激を受け、身体的に程よい疲れを促しリフレッシュすることができます。
便利で楽なペットカートに依存してしまうと、どうしても散歩や歩く量が減ってしまい、そのことが問題行動の原因につながる恐れも十分にあります。改めて歩くことを大切にしましょう。

まとめ

イメージや信頼を覆すことは容易なことではありません。
しかし事実を冷静に受け止め、できることから始めていくことが、本当にペットカートを必要としている方々のためにも、愛犬がシニア期になった時にも大切なことだと思います。

ペットカートは、必要な場合のみ使用にとどめる
公共機関での利用は必ずルールに従う
周囲に配慮してペットカートを使用する

犬と社会の隔たりの原因が、私たち飼い主にあるのだとしたら、こんなに悲しいことはありません。
私たちの愛してやまない犬たちが、社会全体から理解され愛されるために、まずは飼い主自身の行動を振り返ることから始めてみませんか。
ペットカートはとても便利なグッズです。ただ、利己的な認識で安易に使うものではありません。そのメリットを受ける中で、様々なデメリットが存在することを改めて認識し、このことを多くの方へ周知していただけたらと思います。

この記事で伝えたいこと、そして皆さんの心に留めていただきたいことは「ペットカートが電車に乗れる乗れない」という短絡的なことではなく、「ひとりの犬と暮らす人のモラルや姿」は、全ての犬たちへ向かうということ。
犬と暮らしていることを各自自覚して、マナーとモラルを大切に犬と豊かな人生を共に歩む心構えを持てたらと願いします。

参考:
・旅客営業規則第309条(WEB)
・JR東日本(WEB)
・JR東海(WEB)

[文・構成/enkara編集部]
関連記事

犬と一緒に気軽に電車に乗ってお出かけできたらなぁ… 様々な理由から、そんな風に思ったことのある方は多いのではないでしょうか。 なぜ日本は電車やバスに犬と自由に乗れないのか? 今回は公共交通機関に犬と乗車することについて考えてみたいと思[…]

関連記事

こんにちは、ドッグトレーナーの西村緑彩です。 トレーナーとして、長年いろんな飼い主さんと愛犬に会わせていただいた中で感じてきたこと、自分自身の体験などを踏まえ、率直な想いをストレートにお伝えしていこうと思います。 時折トレーニングスキル[…]

環境への取り組みと価値がマークでわかる犬と人のマーケット

enkaraの最新の話題をお届けします!
>VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。 最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

CTR IMG