動物病院やグルーミング、少し遠くのドッグランへ行くなど、日頃から愛犬と一緒に車に乗っている方は多いのではないでしょうか。皆さんは普段どのように犬を車に乗せていますか?何気なくしていることが、実は愛犬にとって居心地の悪いこと、更には危険に晒してしまっていることもあるかもしれません。改めて車に犬と同乗する際のルールと注意点をチェックして、安心安全にドライブを楽しみましょう。
まずは法的なルールを知ることから
車を運転するには、当然ながら道路交通法という法律に従わなければなりません。違反となれば、もちろん反則金や違反点数が加算され、反則金を支払わなかった場合は刑事罰の対象となり、懲役または罰金が科せられます。日常に慣れてしまい、うっかり法を犯してしまわないようペット同乗の際は、次の点に注意しましょう。
「車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。」
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」
「車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。」
上記法律を具体的に落とし込むと、こういったことが問題になります。
犬が車内を自由に動ける状態にしていませんか?
窓から犬が顔を出していませんか?
うんちの入った袋をリヤワイパー等にぶら下げていませんか?
膝の上に犬を乗せて運転すると、犬の存在に気を取られ注意が散漫し、その時点で”運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ”ることに繋がります。そのような状態で乗車(積載)をして運転してはいけないことと定められています。
助手席など自由に犬が車内を動き回れるということは、サイドミラーやバックミラーが見えにくい状況にもなり兼ねます。これは”後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような状態”に該当します。
こうした法律違反は決して大げさなことではありません。実際に昨年、小型犬を膝に乗せて運転していたため上記の法律が適用され逮捕されたケースもあります。(※参考:東京新聞2020年5月2日)
走行中、突然のクラクションや隣を走る大きな車の走行音など、犬が驚いたりパニックになるシチュエーションは様々考えられます。絶対に急ブレーキを踏まない人がいないように、普段どんなに大人しい犬でも、”絶対大丈夫”はありません。
法律の観点からだけではなく、犬も人間も命にかかわる非常に危険な行為です。
また、犬の排泄物などを車内に持ち込みたくないという気持ちからビニール袋などに入れてリアワイパーなど車外にぶら下げている車を見かけることがありますが、万が一落下した際、後続車両などに大きな迷惑と危険を及ぼすため厳密には違反です。
犬と同乗するときに大切な3つのポイント
それではどのような方法で同乗することが望ましいのでしょうか。走行中、犬も人間も安全で快適に過ごすためのポイントを見ていきましょう。
1.犬はクレートに入れ確実に固定!
クレートなど箱状のものを使用し、後部座席やラゲッジスペースにしっかりと固定しましょう。狭い場所に押し込めたくない、かわいそう、そんな飼い主の声はよく聞かれます。しかし、人間ではどうでしょうか。チャイルドシートは狭くてかわいそう、という声は聞かれません。乳幼児や幼児など6歳未満の子どもが車に乗る際は、チャイルドシートの使用が法的に義務づけられており、多くの方がチャイルドシート不使用の危険性を理解し、安全のために使用しています。チャイルドシート不使用者の致死率は適正使用者の約11.1倍※にもなるのです。愛犬も大切な家族の一員です。人間の子どもと同じレベルの安全対策をスタンダードにしたいですね。
※参考:警察庁WEBサイト
2.助手席に乗せない!
設置されているエアバックは成人体型を想定した設計となっているため、衝突時に助手席のエアバックが作動すると乳幼児や幼児は衝撃に耐えられず骨折や窒息してしまう恐れがあります。そのためチャイルドシートは後部座席設置を推進しています。
では子どもを犬に置き換えて考えてみてください。エアバック作動時、運転手の膝の上や助手席を自由に動いている犬たちは、エアバックによって骨折や窒息する危険性のほか、衝撃でフロントガラスに叩きつけられ車外に放り出される可能性もあり、走行中の助手席同乗は極めて危険です。
3.愛犬に合わせた無理のないドライブを
車に酔いやすいなど、愛犬の体質を把握することは飼い主として最も重要なことです。まずは短時間乗せてみることから始め、徐々に慣らしていきましょう。
クレートでの同乗は安全性を向上させるだけでなく、犬にとっても快適です。走行中、犬たちはいつ曲がるのか、そろそろ停止するかも、などは考えていません。犬にとって右折や左折、発進や停止のタイミングはいつも急に訪れるのです。その度に不安定な体勢となる犬たちは狭いクレート内にいる方がが安定します。しっかりとシートベルト等で固定されたクレートは、揺れも軽減されるため車酔いも少ないのです。
愛犬にとって無理がないように定期的な休息をしながらドライブを楽しみましょう。
自動車メーカー犬情報発信サイト紹介
犬との暮らしをより豊かに、そして便利にしてくれる車は、私たち愛犬家にとってなくてはならない存在です。各自動車メーカーがオリジナルのペットアクセサリーを販売している他、車とペットに特化した情報を発信しているメーカーもあります。こうした情報には犬と同乗する際のアドバイスやヒントがたくさんあります。ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか?
・【HONDA】Honda Dog
・【NISSAN】愛犬のためのおまとめリンク
・【VOLVO】VOLVO WITH PET
まとめ
私たち人間も走行中は同じ体制が続くため、長時間のドライブはとても疲れますよね。当然のことではありますが、犬も同じです。適度に休憩やトイレの時間を作るなど十分な配慮が必要です。現在は高速道路のSAやPAにドッグランやお散歩コースが併設されたドッグフレンドリーな場所も多くあります。ぜひマナーを守って活用してみてください。
また、これからの季節は車内の熱中症にも十分気を付けなければなりません。ついうっかりしてしまうキーロックも、車内に犬がいる場合はうっかりでは済まされません。車の運転が身近な存在であるがゆえに忘れがちですが、大切な家族の命が同乗しています。愛犬が一緒のときは特に細心の注意を払いましょう。車があることで、愛犬と過ごす楽しい時間の幅はきっと広がるはずです。愛犬家としてしっかりとルールを守りモラルを持って、幸せな思い出をたくさん作りましょう。
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