美食と愛の国フランスからボンジュール!セムめぐみです。フランスの中央部のロワールの古城郡に囲まれた小さな田舎町に2年前に移住し、物静かな夫、お転婆三姉妹(12歳、10歳、7歳)、人懐こい愛犬キングキャバリアのYUZU、食いしん坊の雌鶏4羽で賑やかな毎日を過ごしています。YUZUは、2019年12月生まれの3歳です。私たち家族と一緒にコロナ渦の飛行機に乗ってフランスにやってきました。鶏たちは、町の生ごみ削減プロジェクトの一環でお迎えした子たちで毎日新鮮な卵を産み落としてくれています。今後「四季と手仕事と犬の暮らし」をテーマに連載でお届けしていきます。第1話はフランスから「冬支度とヘーゼルナッツの季節」をご紹介します。
フランス ロワールとは?
地方の感覚遺産として守られる生活文化
ところで皆さん、フランスでは田舎の鶏の鳴き声や家畜の糞の匂い、教会の鐘の音など地方特有の文化は「地方の感覚遺産(※)」として保護されていることをご存知ですか?
近年、フランスではコロナ渦で国を挙げてのテレワークの推進が行われました。地方都市は都会からの移住者の誘致を行ったことも後押しして地方へ移住する家庭が急増したのですが、一方で都会から移り住んだ人達を悩ませたのが慣れない家畜の鳴き声や匂い、教会の音など__近隣トラブルや控訴に発展するケースなども増え、 社会問題と発展した結果、国が地方都市の守るべき生活文化として保護を決定したのです。
日本では信じられない結末を迎えた地方問題ですが、保護されているから何でもOKという訳ではなく、私が住んでいる町では甲高い鳴き声の雄鶏は隣家との距離や飼育環境などで許可を受ける必要があったりしますのて、゙フランス流にそれなりにうまくバランスを取っているのかもしれませんね。
前置きが少し脱線して長くなりましたが、これから数回にわたり晴耕雨読なフランス田舎暮らしの日常をYUZUと一緒にご紹介します。どうぞよろしくお願いします。
手仕事を通して季節の移り変わりを分かち合う
さて、私が住んでいる地域は9月の中旬にもなると朝は5度ぐらいまで冷え込む日がちらほらでてきて冬支度も忙しくなってきます。
暖炉掃除に、薪の仕入れ、近くの林で暖炉の着火剤にする松ぼっくり拾い、そして我が家の庭にあるヘーゼルナッツの大木からひっきりなしに落ちてくるナッツ拾いも終盤を迎えます。
我が家のYUZUはこのヘーゼルナッツが大好き。うまく殻を割って中の実を食べるのですが、たくさん食べると消化不良など心配なのでYUZUに奪われる前に負けずに必死で拾います。
拾い終わったら、週末お天気が良い日を見計らってお庭でヘーゼルナッツの実を剥き割っていきます。
ここからは子ども達の仕事。三人で手分けをして要領よく割っていきます。
ここまでくるとYUZUも生唾を飲み込み見守っています。
子ども達が割ってくれたナッツはオーブンでかりっと焼いて、ココアとお砂糖を入れてミキサーで一気にペーストに仕上げます。
ヘーゼルナッツにはオイルがたくさん含まれているので仕上がりはドロッとしていて、パンにつけたり、焼き菓子に混ぜ込んだり、温かい牛乳に入れたりと冬の間の我が家の楽しみです。
自然や季節の移り変わりに寄り添っていると日々驚心動魄なことばかり。
日々の生活が目まぐるしく忙しい現代で、季節の手仕事を通して時の移り変わりの瞬間を大切な人やペットと分かちあうことはとても贅沢な時間なのかもしれませんね。 では、また次回に。
参照:
※国会議員は観光客からの苦情から「田舎の感覚遺産」を守りたい(Le Monde紙)
プロフィール
セム めぐみ
大阪出身、海外在住歴20年目。 子どもの頃、愛犬と関係をうまく築けず大の犬嫌いから一転、ひょんなことでキングキャバリアのYUZUを我が家にお迎えしました。 その後、2020年に夫婦共々20年弱のキャリアに終止符を打ち、コロナ渦で予定を前倒しにして飛行機に飛び乗り夫の故郷であるフランスの田舎へ子ども3人+犬を連れて移住。 現在は鶏4羽も加わりワイワイガヤガヤ賑やかな日々です。 自然や季節の移り変わりに寄り添い、晴耕雨読なフランス田舎暮らしの日常をYUZUと一緒にご紹介します。
名前:YUZU
性別:男の子
生年月日:2019年12月
好きな食べもの:りんご
好きなこと:朝の挨拶回り
編集部です。『犬と歩く世界』へ新しくフランスのロワール地方で暮らすめぐみさんのコラムがスタートします!今まで、世界中に住む犬と暮らす皆さんからリアルな日常をお届けしていただきましたが、毎回その中で初めて聞くことや触れる価値観、文化の違いなど、学ぶことが多く知らないことばかりでした。犬と暮らすからこそ感じる本当の豊かさとは?そもそも犬と暮らすとは?
世界中の犬との暮らし、日常を知る場所。
めぐみさんからは、その時を待ち、時間を贅沢に使ってプロセスを豊かに味わう四季の移ろいと住まいを中心にお届けしていただきます。
未来や過去への意識に翻弄されず、今この瞬間を感じることを改めて大切にしたいと思いました。今後続く、めぐみさんの連載をお楽しみに!
[文/セム めぐみ・構成/enkara編集部]