川崎市動物愛護センター「ANIMAMALLかわさき」譲渡会イベントレポート

           

”動物を守る” ”動物のための施設”という意味が込められた「ANIMAMALL(アニマモール)かわさき」の愛称で親しまれている川崎市動物愛護センター。 ちょうどオープンから1年を迎えた今月、同センターで行われた譲渡会を取材させていただき、所長須﨑聰さんにお話を伺いました。

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譲渡会イベントレポート


毎月第3日曜日に行われている譲渡会には、毎回平均350人ほどの方が訪れるとのこと。朝からあいにくの雨となった取材当日も、天気とは裏腹に沢山の方々が来場されていました。川崎市動物愛護センターでは1年を通して、参加動物のストレスや負担を考え譲渡会は必ず屋内で行われます。広々とした吹き抜けの階段を中心に明るく開放的な館内では、センターで保護されている犬の他にも、協力保護団体で保護中の新しい家族を募集する犬たちも参加して和気あいあいとした雰囲気です。

センターから参加のチャッピーはシニアならではの穏やかな優しい顔で、周りを気にすることなくスヤスヤと眠っていました。柴犬のまこちゃんは、行動観察室という家庭の暮らしをイメージしたお部屋で、沢山の来場者をお出迎えしてくれました。この日センターから参加の2頭を加えた全8頭の側には、保護団体やボランティアの方など、その犬をよく知る方々がついて丁寧に説明してくれます。早く新しい飼い主を見つけてあげたい、そこには行政も民間も関係ありません。

WHAT’S “川崎市動物愛護センター「ANIMAMALLかわさき」”

川崎市動物愛護センターは、2019年2月に移転開設。
地上3階建て敷地面積2,500平方メートル、延べ床面積2,308平方メートルと移転前の施設と比較して4倍の広さに拡大。
1階は事務管理エリアの他、鑑定室や検診室など保護された動物が最初に入るエリアです。
2階は主に犬のエリアとなっており、犬舎や手術室などを完備。本が並びソファーに座って学習できるコーナーもあります。
3階は猫のエリアと、いのち・MIRAI教室などの各種教室や研修を行える部屋が並びます。
センターでは16名の職員の方が在籍しており、所長を含め12名の方は獣医師です。
他にも看護師4名、委託業者の方々などがセンターで働いています。
センターで働くすべての方々が日々、専門的な知識のもと真摯に動物と向き合いお仕事をされています。

人口150万人の神奈川県川崎市に位置している川崎市愛護センターは、都市部ということもあり、野犬などの問題はないことからセンターでの引取り数は例年多くはありません。
しかし高齢者問題や多頭飼育など、都市部ならではの問題を抱えています。
下記の統計を見ると、同じ人口150万人前後の都市との比較が分かりやすいのではないでしょうか。

抜粋:令和元年度環境省統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
※「愛玩動物又は伴侶動物として家庭で飼育できる動物の殺処分」は、上記4都市全てゼロ

川崎市では、2016年4月1日より各区役所に「地域みまもり支援センター」を設置し、子どもから高齢者まで一体となった地域包括ケアシステムを構築しています。
従来の分野別の担当制から地区担当制へと変わったシステムにより、全国的にも問題となっている高齢者とペットの問題についても、高齢者福祉と動物福祉など分野を超えた対応ができるようになりました。

参考1(PDF)
また、川崎市動物愛護センターは「人と動物が共生する心豊かなまち」を目指し、いのちを ”まなぶ場” ”つなぐ場” ”まもる場”としての役割を担っています。
小さい頃から動物を飼うことの責任や命の大切さを学ぶことが重要であるとして、啓発といった子どもの教育に力を入れています。その一環として、「いのち・MIRAI教室」を開催しており、センター内での来所型プログラムはもちろんのこと、学校などへ訪問型プログラムも行い年間約1,000人の子ども達が学んでいます。

川崎市をはじめ、川崎市獣医師会、条例で規定され市民から募った「かわさき犬・猫愛護ボランティア」など、多様な連携がなされている印象を受けました。 業務支援や啓発活動に加え、災害時の救援体制においてもこのような連携がとれているのは非常に心強く感じます。(台風19号での状況や反省を踏まえ、現在改善に向けて調整している部分もあるとのことです)

どうやって保護犬の家族になれるの?

<譲渡までの流れ(譲渡会の場合)>

1. 譲渡会に参加する
2. 気に入った動物がいた場合、アンケート記入をする
3. スタッフとの面談(動物の性格などを踏まえたマッチングを行います)
4. 後日、譲渡前講習会に参加(事前に譲渡前講習会を受けている方は必要ありません)
5. トライアル
6. 正式譲渡
7. 譲渡後の自宅訪問(飼育環境の確認など)
犬の性格や状況によっては、時にはトライアルまでにゆっくりと時間をかけ、人と犬が慣れるまでの時間を持つこともあります。
あくまでもその犬の状況によるため、一概にこのくらいの時間を要するとは言えません。
事前に犬と家族の関係性を見るためセンターに来ていただき散歩の練習をするなど、職員が犬と家族の状況を確認したり、事前に家庭訪問をするなどしてミスマッチを防ぎ、より的確なタイミングでトライアルに移行することができます。

川崎市動物愛護センターで行われる定例譲渡会では、基本譲渡費用はかかりませんが、犬によってマイクロチップ挿入代(¥2,000)が発生する場合もあります。(その際は日本獣医師会への登録代として後日¥1,050が別途かかります)
なお、譲渡会にはセンターで審査・認定された保護団体も参加しており、保護団体から譲り受ける場合、譲渡条件や譲渡費用は、各保護団体により異なりますのでご注意ください。

参考2(WEB)

保護犬はどこから来て、どこにいるの?

センターにいる動物の多くは、迷子や負傷により通報の連絡を受け保護されているケースがほとんどです。
相当の事情がある場合のみ、飼い主からの引取りも受入れていますが、その多くは入院や病気などにより飼育が困難になったなどやむを得ないもので、高齢者の方からの引取りのケースが多いです。

譲渡に問題ないと判断された保護犬は、審査・認定された保護団体へ団体譲渡され、預かりボランティア宅などで過ごしながら新しい家族を探すことになります。
センターで継続したケアや専門的なトレーニングを必要とする保護犬のうち、家庭での生活に問題がないと判断された犬たちはセンターから譲渡会に参加します。

「動物愛護に対し教育を受けた子どもたちが大人になった時に、川崎が人と動物が共生する心豊かなまちになるように。時間はかかるかもしれないけれど、子ども達への”いのち”の教育が重要だと考えています。」

そうお話していただいた須﨑所長の言葉が印象的でした。
今後更に少子高齢化が進む中、現状の保護活動そのものも変化せざるを得ない状況になるかもしれません。
次の世代を担う子どもへの教育に対し、広く丁寧にアプローチすることは、行政だからこそ成し得る部分なのではないかと感じました。
川崎市動物愛護センターは定例譲渡会の開催日以外でも、開館時間内であれば、誰でも自由に見学することができ、動物やいのちの尊さを身近に感じることのできる施設です。
ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

<施設情報>
川崎市動物愛護センター「ANIMAMALL かわさき」
住所  :神奈川県川崎市中原区上平間1700番地8
開館時間:午前8時30分から午後5時15分
休館日 :金曜・土曜・祝日(※日曜日が祝日の時は開館)
WEB

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