#05_COOKIE (TOKYO)
奈美 悦子さん・ご主人さま・クッキーくん
私はenkaraを企画設計し、セカンドストーリーを発信するにあたって様々な方にアドバイスをいただきました。その際、とある方に「保護犬と暮らしている人で紹介したい人がいる」と言われ、ご縁を繋いでいただいた方、それが奈美悦子さんでした。奈美さんはenkaraのコンセプトに深く共感してくださり、今回セカンドストーリーのインタビューにご協力をいただくこととなりました。実際にお会いした奈美さんはイメージ通りに明るく、優しい微笑みが印象的な素敵な方でした。物心が付く前から犬と共に人生があった奈美さん、たくさんの犬たちとの生活を経て、出会った保護犬クッキーくん。今回は、ハンディキャップを受け入れ、美しく生きるクッキーくんと家族の物語をご紹介します。
元保護犬 COOKIE(クッキー)のこと
2016年11月生まれ(推定)、キャバリアキングチャールズスパニエル男の子。
現在2歳(2019.6時点)
ブリーダー崩壊から東京都愛護センターへ移送されたクッキーくんは、その後、愛護センターから民間の動物保護団体に保護され、2017年1月、生後3〜4ヶ月の時、奈美さんご夫妻の家族になりました。
保護当時から左目を失明しており、2〜3時間毎に起こる喘息発作もありましたが、ご夫婦で力を合わせ、適切に対応をし、今では発作も止まり元気な姿に。
現在は、たくさんのキャバリア友だちも出来て、月に一度の旅行をご家族で楽しむ日々を過ごしています。
保護犬クッキーとの出会いと決意
クッキーとの暮らしを始めたいと思ったとき、そこにはどんな気持ちがあったのですか?
「クッキーを迎える前に長年共に暮らしたゴールデンレトリバーが2016年11月に亡くなったんです。
その犬は過去に歴代4頭の犬たちと共に暮らしてきた私たちにとって最後の犬で、お正月が明けて、ぽっかりと空いた穴があまりにも大きくて____
その時ふと、友人から聞いた”保護犬”のことを思い出して、自分で調べて保護団体に繋がりました。
まずは会いに行ってみようと思って、そこでクッキーに出会ったのだけれど、保護団体の方から、『喘息がはげしくて、片目が失明して見えません。』と言われて____
そして、クッキーが仔犬だったということもあり、主人も私も年齢を重ねていることもあって、今、生後3〜4ヶ月の仔犬を迎えても大丈夫だろうかという不安もありました。
友人にそのことを相談したら、『いいよ、何かあったら俺が引き取るから』と、心強いことばをかけてくれたので、自信を持って家族として迎える決心をしました。」
連日、2〜3時間毎に繰り返される喘息発作。その時のことを今振り返る
2017年1月、家族として正式に迎えたクッキー。 迎えてからもしばらくは、喘息のコントロールに苦労をしたとのこと。その当時と現在の様子を伺いました。
「家族になってからも、変わらず1分くらいの強い喘息発作を定期的に繰り返していたの。
複数の病院にも通い、抗生物質を継続的に投与されて、治らないからと薬も種類を変え、量が増え・・・
本当にこのままで良いのかなと不安な日々でしたね。
夜中に必ず3回は発作があったから、主人と交互でクッキーを見守る日々だったわ。」
ご友人からの勧めで犬用の酵素を飲ませたり、複数の空気清浄機で環境を整えたり、手編みのセーターを編んでプロテクトしたり、、、と出来る限りのケアを熱心に試したご夫妻。 生後約7ヶ月になった頃、ある日、その発作が少なくなっていることに気がついた。 その後、あっという間に、嘘のようにその喘息発作はピタッと治った。
「今、発作の原因を思うと、クッキーがいた生育環境は劣悪だったのよね。
ブリーダー崩壊したその施設には、多くの犬たちがいたけれど、健康に問題を抱える犬、所謂”売れない犬たち”は1つのダンボールに一緒に入れられていて、ご飯も十分に与えられてなくて、底に敷いてある新聞紙やダンボールなど紙類を食べていたと聞いているの。
栄養面で十分に満たされていなかったクッキーの身体は仔犬なのに痩せ細り被毛も薄く、身体の中が悲鳴をあげていたのかもしれないと思うわ。
喘息発作が治ったクッキーは、どんどん食欲も出てきて____
今は、獣医師からも『骨格がしっかりしていて、筋肉もちゃんと発達している』と言われて、体重もキャバリアの中では大きめで10.1kgあるの!抱っこをしても重いくらいに超元気に育ちました笑」
クッキーが運んできてくれた仲間の存在
保護団体のルールに沿って、生後8ヶ月で去勢手術とマイクロチップ装着をしたクッキー。
最近は、犬友だちと一緒に毎月ドッグラン併設の宿泊施設へ旅行に行き、今までに経験したことが無い、新しい人生の楽しみが増えたそう。それは____
「長年、キャバリアと暮らしている友人がいて、クッキーが家族になったことを知って、連絡をくれて____その方に色んなキャバリアファミリーを紹介していただいて、その輪が次第に広がって、今は、仲の良い犬友だちと一緒に犬たちが喜ぶ場所へ行き、宿泊をして過ごすまで仲良くなったのよ。
それと、その方達は、犬との楽しみ方について情報通で、知らなかったことをたくさん教えてくれるの。
今までの犬たちとの関わりとは違う、新しい楽しみを感じる機会をたくさんいただけて幸せです。」
ハンディキャップについて、そして保護犬を迎えて思うこと
奈美さんご夫妻に新しいご縁を次々に運んできてくれるキューピッドのようなクッキー。
私は1つ気になったことがあった。それは、左目の失明のこと。
ハンディキャップを持つ犬との暮らしは?そして迎えてから2年経過して思う様子の変化と保護犬を迎えて思うことは?
「クッキー自身、目のことは普段全く気にしていないわね。
生まれた時から見えないから不自由は感じていないみたい。
でも、ボールを落とした時の探し方とかを見ていると『やっぱり見えていないのね・・・』って思うわ。
実は、ドッグラン併設の旅行へ行っているのも理由があるのよ。
例えば多くの犬たちで賑わうドッグランに行くと、左目が全く見えないから視野が狭くて犬たちにぶつかってしまったり、左側から急に何かが出てくると対応できないの。
日常的には、そういったドッグランにも行くこともあるけれど、たまには何も気にせずに伸び伸び走って欲しいなと思っているわ。」
保護犬を迎えて今まで暮らしてきた犬たちと何か違いはありましたか?
「クッキーの場合は仔犬で譲渡をされたこともあるかもしれないけれど、保護犬という違いは特別なくて、マナーやトレーニングも入れやすかったわね。
今までブリーダーから迎えた犬たちと大きな違いも違和感もなかったわ。
迎えた時に、もう少し犬の年齢が高かったら、少し気をつけてあげなくちゃいけないこともあったと思うけど、クッキーの場合は体調面の配慮だけだったわね。
自宅に来た時は目や顔の表情もあまり良くはなかったけれど、今は本当に良い表情になったと思うし、現に仔犬時代を知っている方には『会うたびにいいお顔になっていくね!』って言っていただけるの。
顔が穏やかな表情になってるのよね。」
奈美さんと共に過ごした犬たち
「今までの犬たちはブリーダーから迎えた大きな犬ばかりだったの」と話す奈美さん。 犬が6〜7歳になったら、次の犬を家族に迎えると言うルーティーンでいつも多頭飼育だったとのこと。
自分のパートナーとして犬と暮らしたいと決めたキッカケ、そして、犬たちへの想いは?
「子どもの頃から実家には犬がいて、でもその頃は『犬小屋で繋いで飼いましょう』って言う犬との暮らしが一般的だったこともあって、うちもそうだったわ。
その犬と一緒に寝たくて犬小屋に入って寝て親に怒られたり、家族が出かけた時に足を雑巾で拭いて部屋に入れたりとか____
その当時から『いつか、大きくなって自分でワンちゃんを飼うときがきたら絶対に部屋で飼って一緒に寝るんだ!』ってずっと思っていたの。
16歳で芸能界へ入って、デビューからずっと女子寮生活で、その後も生活が多忙だったから犬を迎えることができなくて。
でも、ようやくその時が来たの。
息子が中学生になった頃、息子の”犬と暮らしたい”という願いを叶える形でシベリアンハスキーのボニーを迎えました。
その1年後、群馬にロケへ行った時、運命的にゴールデンレトリバーのブリーダーと出会って、その方とのご縁がキッカケでゴールデンレトリバーの虜になったのよ。
多い時には3頭のゴールデンレトリバー(ティム、ヴィンス、トゥルー)と共に暮らす時期もあって、その当時、大型犬を連れて宿泊できる場所も少なかったので、犬たちのためにと自然が豊かな場所に大きな犬小屋みたいな別荘を作ったんです笑
休みは全て犬たちと家族でそこで過ごしましたね。犬たちの圧倒的な存在感の大きさにただただ癒される毎日でした。
私の人生に犬がいないなんて、考えられないんです。
縁があって、犬たちは私たちの家族になってくれているのだから、どのご家庭同じかと思いますけど、私たち家族も、家族になってくれた犬たちには、いつも世界で一番幸せであってほしいと願います。
そこは子育てと同じかなって思うわ。」
編集部です。お話を伺いながら、終始犬たちへの愛情で溢れていた奈美さん。
今まで共に暮らした犬たちへの愛から繋がるクッキー君への愛。
「うちの子ほんと可愛いの♪」目を細めて嬉しそうに犬たちの写真を見せながら話してくれた奈美さんから何度も発されたこの言葉・・・
それが全てだなって、犬と暮らすとシンプルにそう思います。
みんな、どの犬も愛おしくかけがえのない存在。
愛し愛される関係性こそが、犬と人のずっと変わらない形なのだと、今回のインタビューで改めて感じました。
奈美悦子さん、クッキーくん、ご協力をいただき誠にありがとうございました。