【徹底解説】犬のマイクロチップ義務化スタート!飼い主にとって必要なポイントとは?〜法律が目指す方向〜

2019年に改正された「動物愛護管理法」によって、今年6月から”マイクロチップの装着”が義務化されます。しかしこれは、日本国内に暮らす全ての犬が対象ではありません。そもそも誰を対象としていて、私たち飼い主は何を行う必要があるのか__
マイクロチップの装着については、飼い主それぞれに様々な考えがあって然るべきだと思います。しかし現在、愛犬と共に日本に暮らす以上「動物愛護管理法」という法律で決まっていることは誠実に守らなければなりません。
今回は、新たに決まったマイクロチップ装着・登録のルールについて、私たち飼い主にとって必要なポイントをまとめてみました。

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実際にどんな法律がはじまるの?

〈内容と目的〉
災害時や迷子など、飼い主と離れてしまった際に見つけやすくなることや、管理責任を明確にすることで安易な遺棄の防止、適正繁殖が期待できるため該当する犬はマイクロチップを装着する。

〈該当となる犬〉
・マイクロチップ「装着」義務
繁殖業者や販売業者(ブリーダー・繁殖も行うペットショップなど)のみ
※保護譲渡団体や飼い主は努力義務となっており、必ずしも装着しなければいけない訳ではない。

・マイクロチップ「登録」義務
販売業者から購入した場合や、マイクロチップが装着されている犬を譲り受けた場合は、指定登録機関への登録が義務づけられる。
その他、登録を受けた犬が死亡した場合や、登録内容の変更が生じた場合は、死亡または変更の届け出が必要となる。

〈施行期日〉
・2022年6月1日から施行
※2019年に改正された「動物愛護管理法」は、施行時期が3段階に分かれており、1段階目の適正飼養のための規制強化、2段階目の犬の適正な飼養管理基準の具体化に続き、今回は3段階目の施行

マイクロチップの装着と登録

ここからは実際に、マイクロチップの「装着と登録」について詳しく見ていきましょう。

該当する犬は?

繁殖業者や販売業者(ブリーダー・繁殖も行うペットショップなど)のみです。
購入者に引き渡す日までにマイクロチップを装着することが義務づけられました。
保護譲渡団体や既に飼い主と暮らす犬については努力義務となっており、必ずしも装着しなければいけない訳ではありません。

マイクロチップって何?誰が装着するの?

今回起用されるマイクロチップは、体内へ直接挿入する電子タグタイプです。
直径約1〜2mm長さ約8〜12mm程度の円筒形で、内部はアンテナとIC部、外側は生体適合ガラスを使用しており、アレルギーは起こりにくいものとされています。
マイクロチップを装着することができるのは獣医師免許を持つ獣医師と、その獣医師の指示を受けた愛玩動物看護士のみです。費用は5,000円程度。お住まいの地域によっては補助金が受けられる自治体もあります。

どんな情報が記録されるの?

マイクロチップそのものに記録される情報は15桁の識別番号のみで、飼い主などの情報は記録されていません。識別番号の登録はマイクロチップを初めて装着する人が行います。
その後、その識別番号と飼い主などの情報を紐づけるために、基本的には新しい飼い主が環境省のデータベースへ情報登録をします。

<登録内容例>
① 申請日
② 個人 or 法人
③ 電子メールアドレス
④ 犬の名前
⑤ 犬 or 猫
⑥ 犬種
⑦ 犬の毛色
⑧ 犬の生年月日
⑨ 犬の性別
⑩ ④から⑨のほか犬の特徴となるべき事項
⑪ 狂犬病予防法に基づく登録年月日及び登録番号
⑫ 登録者と申請者が異なる場合
(個人:申請者の氏名及び住所)
(法人:名称、担当者氏名、主たる事務所の所在地・電話番号)
⑬ 動物取扱業者である場合:第一種動物取扱業者 or 第二種動物取扱業者
⑭ 第一種動物取扱業者 or 第二種動物取扱業者である場合:業種
⑮ 第一種動物取扱業者である場合:第一種業種別登録番号
⑯ 母犬に装着されているマイクロチップの識別番号
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情報は誰が管理するの?情報漏洩は大丈夫?

マイクロチップが装着されている犬を購入または譲り受けた場合は、環境大臣が指定した指定登録機関に、マイクロチップの識別番号と飼い主の情報を登録申請することが義務化されました。
指定登録機関の「公益社団法人日本獣医師会」は、2022年6月1日以降、環境省のデータベースを委託管理します。
ただし個人情報保護法に基づき、データベースへアクセスできるのは、環境省・警察・自治体のみです。獣医師であっても、データへアクセスすることはできません。
なお個人情報保護管理者は、環境省 自然環境局総務課長です。

情報変更、死亡、飼い犬登録、犬鑑札のこと

データベースへの情報登録が完了すると「登録証明書」が発行されます。
登録後、登録内容に変更が生じた場合は、変更の届け出が必要です。
また、登録されている犬が死亡した場合も、死亡の届け出が必要となります。
いずれの場合も「登録証明書」が必要となりますので、大切に保管しましょう。

また、現状では狂犬病予防法に基づいて「犬を飼うときは市区町村へ飼い犬登録」を行っていますが、今後環境省のデータベースに登録した場合、指定登録機関から自治体へ通知されるため、市区町村への登録は不要となります。
更に、マイクロチップを犬鑑札とみなすため、犬鑑札の交付も不要となります。
運用方法は各自治体で異なる可能性がありますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

繁殖業者(ブリーダー)から直接犬を迎える時の注意点

装着をした際、埋め込みを行った獣医師から「マイクロチップ装着証明書」が発行されます。
「マイクロチップ装着証明書」は、登録の際に貼付が必要な書類となります。
ブリーダーなどから直接犬を迎える場合は、必ず「マイクロチップ装着証明書」を受け取りましょう。

現状どのくらいの犬が装着しているの?

日本でのマイクロチップ普及率は増加傾向にあります。
例えば、環境省による2010年度実施調査では、迷子札や犬鑑札など所有者を表す措置をしていると答えた約58%の犬の中でも、マイクロチップ装着済は犬猫合わせても7.8%(450,414件)というとても低い結果でしたが、最新の動物ID情報データベース(公益社団法人 日本獣医師会)を見ると「登録数 2,883,050件(そのうち犬 2,151,746件)2022年4月26日時点」と、この12年間で装着普及率は約6,5倍に増加しています。

飼い主は何をすればいいの?

■既に犬と暮らしている場合

1. マイクロチップが装着されている→ ”登録が必要”
今までの主流であった、民間事業のマイクロチップ制度に登録していた場合、環境省のデータベースにも登録する必要があります。
下記の登録団体に登録している場合はこちらのWEBサイトから移行登録の受付が可能です。
▶︎WEBサイト
※2022年5月31日まで手続き無料→2022年6月30日まで期間延長!(6/2追記)

〈登録団体〉
◎日本獣医師会 動物ID普及推進会議(AIPO)
◎日本マイクロチップ普及協会
◎ファミリーID管理機構(Fam)
◎ジャパンケネルクラブ
◎マイクロチップ東海

2. 新たにマイクロチップを装着する場合→ ”登録が必要”
動物病院などで獣医師によって装着してもらい発行された「マイクロチップ装着証明書」を元に環境省のデータベースに情報登録をし、「登録証明書」を受け取ります。
※マイクロチップ装着証明書を受け取った日から30日以内に登録

3. マイクロチップを装着していない、今後も装着の予定はない→ ”装着・登録の義務はなし”(努力義務)

■保護譲渡団体や知人から犬を迎えた場合

1. マイクロチップが装着されている場合→ ”変更登録が必要”
登録には、前の所有者が登録した際の「登録証明書」が必要となります。
登録証明書を譲り受けた日から30日以内に変更登録します。登録が完了すると新たな登録証明書が発行され、以前の証明書は無効となります。

2. マイクロチップが装着されていない場合→ “装着・登録の必要なし”(努力義務)

■繁殖業者(ブリーダー)から直接犬を迎えた場合

”新規登録が必要”
獣医師発行の「マイクロチップ装着証明書」が環境省のデータベース登録の際に必要となります。
必ずブリーダーから受け取りましょう。
マイクロチップ装着証明書を受け取った日から30日以内に登録します。登録すると登録証明書が発行されます。

■販売業者(ペットショップ等)から犬を迎えた場合

”変更登録が必要”
販売業者であるペットショップは、繁殖業者から犬を購入した際に「マイクロチップ装着証明書」も同時に受け取り、既に所有者として環境省データベースに登録をし、「登録証明書」が発行されている状態です。
登録証明書を必ず受け取り、販売業者から飼い主の情報へ30日以内に変更登録をします。

「マイクロチップ装着証明書」や「登録証明書」を受け取る必要のあるシチュエーションにおいて、繁殖業者や販売業者から渡されない、そもそもマイクロチップを装着していないなど、”法に違反している可能性がある場所からは決して犬を迎えるべきではありません”。
更に、そうした事業者に遭遇した際は、然るべき機関へ報告することが望まれます。
マイクロチップの登録は環境省が主体となっておこなっている制度です。事業者の所在地がある動物愛護センターや保健所へ相談することをおすすめします。

どこへ情報登録するの?

マイクロチップ識別番号と飼い主の情報を紐づけるために環境省のデータベースへ情報登録が必要です!
指定登録機関である公益社団法人日本獣医師会のマイクロチップ登録申請システムから登録・変更ができます。

登録を申請するには、オンライン登録・申請書郵送による登録の2つの方法があり、それぞれ手数料が異なります。
登録変更などがない場合、登録や手数料の支払いは生涯1回限りです。

登録手数料:オンライン300円|郵送1,000円(登録・変更1回につき)
登録証明書の再交付手数料:オンライン200円|郵送700円

なお、このマイクロチップ登録に関する手数料は、狂犬病予防法における犬の登録手数料(飼い犬登録)とは異なります。
新たに犬を飼う際は今まで通り登録手数料(3,000円)を飼い始めてから30日以内に市区町村へ支払う必要があります。飼い犬登録の方法や支払い方法については、お住まいの自治体へご確認ください。

マイクロチップ義務化から適正な繁殖へ

マイクロチップ装着の義務化で、迷子犬の返還率・返還数の向上以外にも、期待されている点があります。そしてここが今回“最も重要なポイント”だと私たちは考えます。
昨年2段階目の施行として「犬の適正な飼養管理基準」が具体化されました。その中で、母犬の年齢制限が厳密に規定され、出産回数については繁殖実施状況記録台帳への記入が義務づけられています。
今後、獣医師が個体を確認してマイクロチップを装着し「マイクロチップ装着証明書」を発行し、環境省が情報管理を行うため、繁殖業者による<母犬の大幅な年齢の偽りは難しくなる>ものと見ています。

また、繁殖業者から販売業者へ犬を引き渡す際は「マイクロチップ装着証明書」と共に、「繁殖実施状況記録台帳」の写しも併せて渡すことが義務づけられました。
こうした証明内容や情報は、誰しもが閲覧できるものではありませんが、環境省のデータベースには全て登録されることになり、犬のトレーサビリティがようやく明確になります。
一見飼い主に関係のないことのように感じるかもしれませんが、愛犬の出生に関わる重要な変更点です。

まとめ

2019年に改正された「動物愛護管理法」は、今回の3段階目の施行によって完全施行されることになります。
時代の変化に合わせ、少しずつ改善の方向へ進んでいます。当然ながらどんなに法を整えたとしても、抜け道を見つける悪徳業者の存在を淘汰することは難しいかもしれません。
しかし私たち飼い主が正しい知識を持ち、法を順守した誠実な事業者から犬を迎えることで、その数は必ず減少します。

事業者を監督するのは国や自治体ですが、国民一人一人が正しい判断基準で事業者を評価することもとても大切な監視の目ではないでしょうか。
愛犬を思い浮かべたとき、現在の動物愛護法に何を感じますか?
現在の動物愛護管理基本指針では、2025年度を目途に見直しをすることとされています。かわいそうという感情だけでは、決して法を変えることはできません。
より良い議論がなされ、健全な方向へ改善されるかどうかは、私たち飼い主が正しい知識を持ち関心を寄せることが最も大切です。
法律という大きな存在であっても、全ての命ある生きものたちが今より幸せに暮らせる社会となるために、守り、変えることができるのは私たち人間だけなのです。

参考資料(環境省)
マイクロチップ登録制度に関する飼い主の方向けQ&A

動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律等の施行等の在り
方について(第4次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」
に係る基準省令の改正)

動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の改正(案)について

動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(通知)

動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針

犬猫のマイクロチップの義務化について

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