なぜ?野犬は爆発的に増えるのか?〜野犬を増やさないためにできる6つのこと〜

           

特定の地域で爆発的に増える野犬たち。
でもその場所は、実は特別な地域ではなく、極めて一般的な住宅街であることも多く、「なぜこんなにまで増えてしまうのか、それって何が理由なのか?」そう考える方も多いかと思います。野犬が急速に広がるその理由は、犬の繁殖能力の強さや身体能力の高さにあります。今回は、様々な理由から野犬が増えるワケを掘り下げ、そしてその問題に対し、犬と暮らす飼い主ができることをお届けします。

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迷子1頭からはじまる野犬の増加

現在日本には多くの野犬たちがいます。
環境省から毎年愛護センター等が管理した犬たちについて発表があり、その中に「引き取り数(所有者不明で捕獲や保護した数)」と「返還数(迷子などで飼い主へ返還した数)」があります。
犬の殺処分のほとんどは野犬であることから、enkaraでは「引き取り数」から「返還数」を引いたものを「推定野良犬数」として捉え、その数の変動も含めてリサーチしています。
表を見ると一見、推定野良犬数は減少傾向のように見えますが、あくまでもこの数値の中にいる推定野良犬たちは「愛護センター等が関与し捕獲・保護した中にいる飼い主不明の犬」のため、日本全国に生息する野犬たちの総数ではありません。その数はもっと膨大で、四国や山口など一部地域によっては社会現象となっています。

ではなぜ?野犬が増えるワケを考えるとき、まずこの話題からなのか?
犬はそもそも野生種ではありません。
野犬が増える最大の問題は、どこかの誰かが放してしまった家庭犬に原因があるからです。その後、その1頭がどれほど地域に大きなインパクトを与えるのかご説明します。

犬の繁殖能力を知る

犬は、約1年で成犬になり性成熟に達する時期は、オスとメス共に「小型犬 8~10ヶ月齢、大型犬 10~12ヶ月齢」が一般的です。
メスの発情期は、性成熟に達してから約8歳まで通常は年1~2回訪れます。
オスは発情中のメスに誘発される形で反応が起こり、数km離れていても発情中のメスの匂いを察知できると言われています。
また犬は、1回の出産で4〜5頭の仔犬を産みます。
その根拠を元に、例えば<ある地域に不妊手術をしていないオス1頭とメス1頭の迷子犬がいた場合、野犬はどれほど増えるのか>算出してみました。
8ヶ月6頭→16ヶ月18頭→24ヶ月54頭→32ヶ月162頭→40ヶ月486頭…と、約3年で500頭近い数へ爆発的に増え続けていきます。犬は繁殖能力が高いため、避妊去勢手術をせずに迷子にしてしまったその1頭が地域に与えるインパクトはあまりにも大きいのです。

なぜ捕獲できないのか?

日本の場合、〈放浪している犬は狂犬病予防法により保護しなければならない〉と定められています。そのため地域を管轄する愛護センターなどは定期的に見回りを行い、通報を受けると野犬の捕獲を行っています。
ただ野犬は、成犬になると中型〜大型に育つことが多く身体能力が高くなり、生きていくために警戒心が強くなることで捕獲することが非常に困難になります。
またその際、基本餌を入れた捕獲器(保護器)を設置し捕獲を行いますが、「可哀想だから」と野犬たちへ無責任な餌やりをすると捕獲器の中にある餌に興味が薄れ、ますます捕獲は困難になります。
その結果、捕獲が進まずその地域にはさらに野犬が増え続けることになります。

まとめ

ー私たちが野犬を増やさないためにできる6つのことー
1. 捕獲の妨げになるため野犬に餌を与えない
2. 野犬(特に仔犬)を見かけたら管轄の動物愛護センターへ届ける
3. 愛犬の迷子に十分注意する!
4. 継続飼育が出来なくなった時は、遺棄をせずに新しい飼い主を探す
5. 家庭犬の場合、繁殖はしないため”避妊去勢手術”を早めに検討する(特に外飼育の場合は必ず”避妊去勢手術”を行う)
6. 犬と暮らしたいと考えたとき「保護野犬」を検討する

1つ1つの命は大切なものです。だからと言ってむやみやたらに無責任に命を増やすことは良いこととは言えません。また野犬たちが住む周辺地域の糞尿や感染症問題は深刻で、犬に対する恐怖、嫌悪は犬が愛される社会の対局にある社会を創ってしまいます。
現状増えてしまった野犬たちは1日も早く捕獲保護され、愛護センターや民間団体などを通じ、家庭へ譲渡促進されることが理想です。
そして、これ以上食を探し求め、雨風を凌ぐ場所を探し続ける過酷な環境下で生きる犬たちを増やさないように___犬と暮らす飼い主が意識を持って”犬を飼うこと”が重要です。
たった1頭。
でもその1頭が迷子となることで与えるあまりにも大きなインパクトや、自分の愛犬が不幸の連鎖を作るきっかけとなる可能性があることを改めて意識する必要があります。

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