【2022年最新版】”動物愛護管理法”改正の全ポイント!どんな違反や罰則があるの?徹底解読! 〜未来の犬たちのために、飼い主が今できること〜

約50年前、1973年に制定された「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」は、今まで1999年、2005年、2012年にそれぞれ法改正が行なわれています。
2019年に4度目となる法改正が行なわれ、”動物取扱業のさらなる適正化”や”動物の不適切な取扱いへの対応の強化”を目的とし改正されました。
記憶に新しい”数値基準”や”マイクロチップ装着の義務化”などは2019年の法改正によるものです。
新しい法律が決まると、いつからその法律をスタートさせるか”施行期日(施行日)”が決められます。
2019年6月にそれまでの「動物愛護管理法」の一部を改正することが決まりましたが、改正した法律を全て同じ日に施行するのではなく、2020年から2022年にかけて、施行期日を三段階に分けて施行されることになりました。段階的に施行されたため、記憶が曖昧になってしまったり、内容を把握しきれていない方も多いかもしれません。
本記事では、2019年の最新法改正のポイントをまとめてご紹介します。

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ステップ1「飼養のルール」(2020年6月1日施行)

一段階目として2020年6月1日に施行された改正内容を「飼い主に関係するポイント」から順に見ていきましょう。

【動物の所有者等が遵守する責務の明確化】第7条

環境大臣の定める「動物の飼養及び保管に関する基準」を、動物取扱事業者の他、私たち飼い主も遵守しなければならないと明確化されました。

主に該当する「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の内容を大まかに説明します。

家庭動物の生態や習性に応じて、適切な給餌や運動、睡眠を確保すること
生活する場所の衛生を保ち、周辺の生活環境にも配慮すること
不衛生な場所や危険な場所に拘束することによって衰弱させることは、虐待となるおそれがあることを十分認識すること
飼育する頭数は適切な管理が可能な範囲内とすること。また、適切な管理を行うことができない場合は虐待となるおそれがあることを十分認識すること
飼い主の制止に従えるよう訓練に努めること
脱走や放し飼いなどによって、野生動物の捕食や在来種の圧迫など、自然環境保全上の問題が生じ、人と動物との共生に支障が生じることがないよう十分な配慮を行うこと

上記のように遵守基準の内容としては、飼い主として当然の内容です。
しかし法律として明確化されたことで守れない場合は罰せられることになり、虐待やネグレクトなど、不適切な飼養をしている飼い主に対して効力を発揮すると考えられます。

【動物の適正飼養のための規制の強化】(都道府県知事等による不適正飼養に係る指導等の拡充)第25条

都道府県知事等は、騒音や悪臭など周辺の生活環境を損なう事態が起きた際、その原因を引き起こしている飼い主に対して指導や立ち入り検査、勧告を行なうことができるようになりました。また、不適正な飼養が原因として衰弱や虐待のおそれがある場合も、同様の対応ができるようになりました。
更に、以前までは”多数”の飼育によることを不適正飼養の原因の一つとしていましたが、今回の法改正では”1頭のみ”の飼育であっても、措置の対象となりました。

(犬及び猫の繁殖制限の義務化)第37条

所謂”多頭飼育崩壊”のように、無秩序に繁殖され続け適正な飼育ができないおそれがある場合、その飼い主は避妊去勢手術など所要の措置を講じなければならなくなりました。
以前までの”努めなければならない”という表現から”講じなければならない”という強い表現になっています。

(罰則の強化)第44条

動物殺傷罪等に対する罰則が引き上げられ、より重い罪になりました。

・殺したり傷つけた者2年以下の懲役又は200万円以下の罰金→5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

・虐待したもの100万円以下の罰金→1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

・遺棄した者100万円以下の罰金→1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

次に「飼い主以外を対象とした、改正内容のポイント」を見ていきましょう。

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【第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等】

・第一種動物取扱業の登録拒否事由の追加(第12条)
・動物を販売する場合における対面による情報提供の徹底(第21条の4)
・帳簿の備付け等に係る義務の対象の拡大(第21条の5及び第24条の4第2項)
・動物取扱責任者の要件の適正化等(第22条)
・動物取扱業者に対する勧告及び命令の制度の充実(第23条)
・第一種動物取扱業者であった者に対する監督の強化(第24条の2)

劣悪な環境で事業を行う繁殖業者や不良ブリーダーを抑止することを目的として、法改正されました。
都道府県知事による勧告に従わない第一種動物取扱業者については、その旨を公表することができるようになっています。

【都道府県等の措置等の拡充】

・所有者不明の犬及び猫の引取りの取扱い(第35条)
・動物愛護管理センターの位置付けの明確化(第37条の2)
・動物愛護管理担当職員の拡充(第37条の3)
・動物愛護推進員の委嘱の努力義務化(第38条)

都道府県等に設置される動物愛護管理センター等における業務内容が規定されました。
また、都道府県、政令市、中核市は、その地方公共団体の職員で獣医師等動物の適正な飼養及び保管に関して専門的な知識を持つ「動物愛護管理担当職員」の設置が義務付けられました。

【獣医師による動物虐待等の通報の義務化】(第41条の2)

虐待を受けたと思われる動物を発見したときは、遅滞なく、都道府県知事その他の関係機関への通報が義務化されました。
以前の”通報するよう努めなければならない”というものから更に強い表現となっています。

【その他】

・動物を殺す場合の方法に係る国際的動向の考慮(第40条)
・関係機関の連携の強化(第41条の4)
・地方公共団体に対する財政上の措置(第41条の5)

ステップ2「数値規制」(2021年6月1日施行)

二段階目に施行された「犬の適正な飼養管理基準の具体化」については、”数値規制”と呼ばれ、今回の法改正の中でも多くの方の関心が高かった改正内容ではないでしょうか。
詳細な改正内容は、『記事 「動物愛護管理法」飼養管理基準 に関する省令等の公布! 〜 “数値規制” の施行へ向けて〜』をご覧ください。本記事では概要を見ていきたいと思います。

〈 対 象 〉
・犬猫を取り扱う事業者全般
ペットショップ・繁殖業者・ブリーダー・グルーミングサロン・ペットホテルなど、第1種動物取扱業者(営利)の届出をしている全ての事業者・事業所の他、保護譲渡団体等の第2種動物取扱業者(非営利)も全て対象。
〈 具体化された基準 〉
(1) 施設の管理、設備
(2) 従業者数と飼養頭数(2025年までに完全施行)
(3) 環境の管理
(4) 疾病等への措置
(5) 展示・輸送の方法
(6) 繁殖回数、選定、方法
(7) 愛護と適正な飼養

犬猫を取り扱う全ての事業者に向けて、動物が適正に飼養されるための詳細な基準が設けられました。
事業者に指導監督を行う立場である自治体が、それぞれの自治体によって判断が異なることのないよう、管理基準の解釈と運用指針も策定されました。
基準が統一されたことによって、厳格な運用ができるものと考えられます。

ステップ3「マイクロチップの装着」(2022年6月1日施行)

三段階目として今年6月に「マイクロチップの装着」が義務化され、今回の法改正は完全施行されたことになります。
こちらの詳細な改正内容については、『記事 【徹底解説】犬のマイクロチップ義務化スタート!飼い主にとって必要なポイントとは?〜法律が目指す方向〜』をご覧ください。本記事では概要を見ていきたいと思います。

・マイクロチップ装着義務繁殖業者や販売業者(ブリーダー・繁殖も行うペットショップなど)のみ。
※保護譲渡団体や飼い主は努力義務となっており、必ずしも装着しなければいけない訳ではない。

・マイクロチップ登録義務販売業者から購入した場合や、マイクロチップが装着されている犬を譲り受けた場合は、指定登録機関への登録が義務づけられる。
その他、登録を受けた犬が死亡した場合や、登録内容の変更が生じた場合は、死亡または変更の届け出が必要となる。

マイクロチップの装着については、災害時や迷子など、飼い主と離れてしまった際に見つけやすくなることや、管理責任を明確にすることで安易な遺棄を防止する目的として制定されました。
それだけではなく、マイクロチップの装着を証明する証明書を獣医師が発行することや、出生に関わる情報が環境省のデータベースに全て登録されることなどから、悪質な業者による不適正な繁殖を防ぐことが期待されています。

まとめ

今年6月に完全施行された「改正動物愛護管理法」ですが、当然ながら法改正し施行されたら終わりではありません。飼い主や事業者はもちろん、監督する立場である行政に対しても、改正された法律がしっかりと遵守されているのか見守る必要があります。
「動物愛護管理法」は時代の変化に合わせ、少しずつ改善の方向へ進んでいます。
それでも今回改正された内容を見たときに、現在の犬たちを取り巻く環境に対しては物足りなさを感じることが多いかもしれません。
前回2012年の法改正時に「施行後5年を目途に見直す」こととされていたため、今回2019年の法改正に至りました。そして今回もまた「施行後5年を目途に必要な措置を講ずる検討条項」が盛り込まれています。
今感じる物足りなさを、かわいそうという感情だけで訴えるだけでは全く意味を成しません。次回法改正の際、改善に向け更なる議論や検討が行なわれていくためには、私たち飼い主や愛犬家が現在の法律やルール、基準を正しく把握し、必要な声を上げることが最も有効な方法ではないでしょうか。
全ての命ある生きものたちが今より幸せに暮らせる社会となるために、守り、変えることができるのは私たち人間だけなのです。

参考資料(環境省)
動物の愛護及び管理に関する法律

動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月19日法律第39号)

動物愛護管理基本指針

家庭動物等の飼養及び保管に関する基準

動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~

[文・構成/enkara編集部]
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