『犬の気持ち第一』すべてはこれに尽きます。犬の気持ちを無視して飼い主さんの意向は聞くことは出来ません。飼い主さんには犬の気持ちに寄り添えるように丁寧に繰り返しアドバイスをします。飼い主さん・犬・グルーマー。三者が気持ちよく暮らせるよう、総合的な知識を習得し、犬と飼い主さんの橋渡しができるように日々努力していくのが私たちの役割であり、犬たちにとってグルーマーの存在意義です。今日は、グルーマーとして大切なことをお話しします。
グルーマーとトリマーの違い
私たちグルーマーは犬たちにgrooming(グルーミング)を施すプロです。まず、日本人の大きな勘違いからお話したいと思います。諸外国ではグルーミング、そしてそれを行う人をグルーマーと呼ぶのが共通用語で、日本で生まれたトリミングやトリマーという言葉は使いません。犬のカットやシャンプーなどのケアをお願いする時は「犬のグルーミングをお願いしたい」と伝えるのが一般的です。そんな私たちグルーマーは、国家資格ではなく認定資格保有者です。資格がなくても技術者に習って技術を身につける人もいます。そう、誰でもグルーマーになれるんです。そんな仕事ではありますが、私たちの仕事は飼い主さんが見つけられない犬の異変にいち早く気づく大切な役割を担っています。
グルーマーは”変化に気づくこと”が大切
家庭で飼育されている犬のほとんどが、グルーミングやシャンプーなどのケアを受けるためにグルーミングサロンを訪れます。動物病院は、基本的に犬の具合が悪い時に行くことが多いと思いますが、グルーミングサロンは健康でも定期的に訪れるため、グルーマーはその犬の身体に日々触れる機会があります。
グルーミング中、皮膚や被毛の状態・体重・お口の中・耳の中・目の輝き・機嫌…など、いつもと何か様子が違う…と瞬時に気づくことがあります。そんな時はお迎え時に「今日、ご機嫌が良くありませんでしたが…何かありましたか?」と飼い主さんに確認するようにしています。私の経験では、その変化の原因として、人間の赤ちゃんが産まれて全身脱毛した犬もいましたし、大好きなお姉さんが結婚をし家を出たことで今まで普通に仲良く暮らしてたお母さんを噛むようになった犬もいました。前月には無かった大きな腫瘍がたった1ヶ月間で出来た犬もいました。
シャンプーしてドライヤーをかけると毛がフワフワになって皮膚がよく見えるようになります。その時に小さな赤い発疹ができていたり…しっとりしていた皮膚がカサカサになっていたり…その変化を飼い主さんは気づいていなかったり、気づいていても大したことに捉えていなかったりすることは多くあります。
言葉を発さない犬の代弁者になること
犬にも心があります。犬は、神経が豊かで敏感です。人が聞こえない音や気づかない臭いにも反応します。変化に対しちゃんとサインを出してくれるのが犬たちなんです。病気を診る(見つける)獣医師にはできない事や気づかないことでも、私たちグルーマーは施術の中で気づくことが可能です。私は、SOSを見抜いて、言葉を発さない犬の代弁者になることが私たちグルーマーの一番大切な仕事だと思ってます。