【令和2年最新版】環境省発表統計数値を紐解く!

2019年4月1日から2020年3月31日までを対象期間とした「令和2年 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」について、環境省から統計資料が正式発表されました。
私たちは、今まで公式に発表されている数値を基に、様々な現状を可視化してきました。もちろん、数値はあくまでも指標の一つに過ぎず、この中に含まれていない犬の存在も認識しています。しかし、『数値』という目に見えている部分から、冷静に現状を理解することで、今私たちが取り組むべき課題が見えてくるのではないでしょうか。
闇雲に問題や課題を挙げるのではなく、まずはここから、せめて確実に見えている部分の中からできることを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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健康であるにもかかわらず殺処分された犬が半数以上減少!

最新の統計資料では、引取り数、譲渡数、殺処分数と全ての項目において前年度よりも数値は好転しています。この中で最もインパクトのある変化は、『犬の殺処分数(分類②)』の激減です。3,000頭→1,270頭(1,730頭 57.7%減少)
前年度は、分類②の説明として「愛玩動物又は伴侶動物として家庭で飼養できる動物の殺処分」とされていました。つまり、健康であり家庭で暮らせるにもかかわらず殺処分された頭数が半数以上減少したということになります。
近年、群を抜いて殺処分数の多かった香川県も、前年度の1,309頭から345頭へ73%激減しています。他にも多くの自治体で減少傾向にあり、既に毎年処分数がゼロである自治体も多くあります。これは紛れもなく行政やそこに携わる保護団体などボランティアの方々の努力の賜物です。
この数値から考える「殺処分ゼロ」とは、「分類②に該当する”健康であり家庭で暮らせる犬”の殺処分をゼロにすること」だと考えます。では、この数値をゼロにするための課題とは何か改めて考えていきたいと思います。

迷子や野良犬の引き取り数が全国で年間約2,500頭減少!

単純に、引取り数が減り譲渡数が増えれば自ずと殺処分される頭数はゼロに近づきます。
全国の犬の引き取り数は、前年度35,535頭から今年度32,555頭と2,980頭減少しています。内訳として、所有者不明(迷子や野良犬)の引取り数が約2,500頭減少していることに対して、飼い主の持込みによる引取り数は約400頭の減少に留まっています。
終生飼育は当然の心構えであり犬との暮らしを考えた時に大切なことではありますが、誰にとっても”絶対”はありません。特に高齢化社会と言われる現代においては、手放さざるを得ない事案も多く発生しています。
安易にペットを手放さない啓発も大切ですが、愛護センターに持ち込む前に、飼い主自身でいざという時に愛犬を託す相手を探せる環境や仕組みを作ることも必要なフェーズにあるのではないでしょうか。そして、その時のために愛犬が誰にでも愛されるよう社会性を身につけることはセットで重要です。

保護団体ありきではない行政としてのリーダーシップに期待

譲渡数は、愛護センターで収容保護された犬に新たな家族が見つかって譲渡された数だと認識している方も多いかと思いますが、実は上記の他に、保護団体へ渡った犬たちの数も含まれています。
野犬や野良犬の多い地域の愛護センターには常時たくさんの譲渡対象の犬がいますが、多くの愛護センターには譲渡対象となる犬は少なく、そのことからも、愛護センターから保護団体へ多くの犬が譲渡されていることが推察できます。
現状、愛護センターから直接新しい家族へ譲渡した犬の正確な譲渡数は発表されておらず、行政目線での譲渡数や譲渡率を上げることに意味はなく、やはり引取り数を減らすことに注力すべきだということを感じざるを得ません。
また、各保護団体にもそれぞれキャパシティがあり、活動者の高齢化やリソース不足も深刻です。今後は、保護団体ありきの譲渡とならないよう、行政としてリーダーシップの役割が期待されます。

推定野良犬数も昨年比 約2,000頭の減少!

発表された統計を基に「引取り数(所有者不明)」から、迷子などで飼い主へ返還された「返還数」を引いた数をenkaraでは「推定野良犬数」と捉えています。
この「推定野良犬数」を減らすことは即ち「引取り数」を減らすことに直結しているのです。今回、その数値についても全国的に見ると、前年度に比べ約2,000頭の減少が見られました。野良犬、野犬は、もともとその地域に生息していた野生種ではありません。
野良犬、野犬の絶対数の減少には長期的なスケールで見守る必要があり、犬と暮らす全ての人が迷子から野良犬にさせないための当事者意識を持つことが大切です。

根本的に野犬、野良犬を減らすために必要なこと

例年、推定野良犬数の多い上位3県(香川県・広島県・山口県)では、譲渡数が増え殺処分数が減っているにもかかわらず、推定野良犬数の大きな数値の変化は見られませんでした。
そのことから、残念ながら3県の野良犬生息数の変動がないことが分かります。
野良犬として成長した野犬は身体能力も高く人慣れしていないことから、捕獲し保護することも容易ではありません。また犬は、短期サイクルで妊娠出産するため野犬は簡単に減りません。厳しい現状ではありますが、根本的に野犬・野良犬を減らすには、捕獲と譲渡を伸ばし、絶対数を減らす他ありません。
野犬は仔犬の方が捕獲しやすいことから仔犬の譲渡も多く、仔犬から迎えたいという方の希望に沿うことができます。成犬でも、家庭犬としてトレーニングを受けた犬も多く、高い身体能力でアクティブに楽しむことができるといった良いところも多くあります。野犬を迎える選択肢が広く周知され、飼い主の譲渡適性を評価したうえで、譲渡数を増やすことも欠かせない解決策の1つです。

譲渡することが適切ではないと分類される命に向き合う

冒頭でお伝えした通り、殺処分数、とりわけ分類②の健康で家庭で暮らせるにもかかわらず殺処分された頭数は減少しました。
この数がゼロになることで、今後は、分類①に分けられる”治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等譲渡することが適切ではない”として殺処分される頭数にも変化が出ると考えられます。
現状、分類②が前年度の半数以下まで減少していることに対して、分類①の減少は僅か300頭ほどで、ほとんどその数に変化はなく、地域によっては増えている都道府県もあります。
治癒の見込みがない病気やケガなどを負っている場合、動物福祉の観点から安楽死という選択肢も考えられます。しかし、”攻撃性がある”という場合については、トレーニングに費やす専門家や時間のリソースさえあれば、その数を減少させることができるはずです。
もちろん、分類②の頭数をゼロにすることが目下の課題ですが、それを解決することで、こういった次の取り組むべき段階へと進むことができます。


まずは、環境省発表資料の中にある、皆さんがお住まいの地域の数値を見て知ることから始めてみませんか。
そして数値の増減の背景にどのような地域の問題や文化があるのか考え、今後の動向に注目してください。決して他人事にしないこと。それが失われた命と犬たちの未来に対しての、愛犬家として果たすべき責任ではないでしょうか。
一つずつ問題を紐解き解決に向けて考えることの積み重ねが、犬たちの幸せとより良い社会に繋がると信じています。年末、コロナ禍で大きな生活様式の変化があった2020年〜2021年の数値発表があります。最新版として発表されるその統計数値が、犬たちにとって今よりもっと愛ある方向であることを心より願います。

参考資料
・犬猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
概要(環境省 動物愛護管理行政事務提要)

・犬猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
PDF(都道府県・指定都市・中核市)

・犬猫の収容と譲渡に関する香川県の考え方について

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