こんにちは、ドッグトレーナーの西村緑彩です。トレーナーとして、長年いろんな飼い主さんと愛犬に会わせていただいた中で感じてきたこと、自分自身の体験などを踏まえ、率直な想いをストレートにお伝えしていこうと思います。時折トレーニングスキルなど、犬と向き合う上でのワンポイントアドバイスなども織り交ぜていきます。そして、その連載の中で何かの言葉が皆さんと愛犬たちにとって心に響くものであればとても嬉しく思います。第1回目は、「諦めたらそこで終了」ということをお伝えします。
実はこれ、私自身と私の愛犬の体験が深く関係してくるのですが、そのお話はまたの機会に詳しく書きますね。犬を飼っている方と色々な場面でお話することが多々あります。その中で私が「残念だな…」と感じるのが「諦めている」発言。これはレッスン中というよりも、動物病院や犬のイベント、散歩、カフェなどのプライベートで出会った方々がほとんど。その中であるある発言が以下の言葉。
「もう◯歳だし、これから頑張ってもね…」
「何言ってもわかってないから(おバカちゃんだから)」
「怖がりだから何にもできないの」
地域が変わっても、飼い主さんの年齢や性別が違っても不思議とこの3つ。そして、この全てに共通している本質として原因は”限界を飼い主自ら作ってしまっていること”です。では、その限界は本当でしょうか?25年間、いろんな犬たちと接してきましたが、全て「ノー」です。それでは、1つ1つ紐解いていきましょう。
1.「年齢」の諦め
何歳からでも大丈夫です。
よく言われている「成犬になったら遅い」伝説。
たしかに人間の子ども同様順応性の高い若いうちの方が受け入れやすいのは確かですが、成犬でも飼い主さんの本気で向き合う気持ちさえしっかり持っていれば確実に変わります。
現に以前の私のパートナーのコーギーは他犬に攻撃性を向ける犬でしたが、8歳から本気で向き合い老後はどこに行っても安心できる子になりました。
10歳過ぎに椎間板ヘルニアになってしまった犬の噛みつきへのアドバイスもしてきましたが、効果を得ることができました。
2.「おバカ犬」という諦め
犬は朝起きてから寝るまで出会う人、出会う状況からいろんな学習をして、犬自身がとる行動を築き上げていきます。
人間側から見れば”自分の言うことを聞かない犬”は「おバカ」として一方的に認識しているかもしれませんが、実は犬から見れば飼い主の言うことは不都合があるから無視しています。
もう一つの理由として、犬が何が間違っていて、何が正しいのかをきちんと学べていないが故に、言うことを聞かないケースも多いです。
具体的に困った行動を直していく方法はその問題のケースによって変わって来ますが、どのような手法で教えていくとしても「おバカ」と思わずに犬を信じて教えていけば、必ず犬は変わります。
バカな犬はいないのです。
3.「怖がり」の諦め
とてもシンプルに言ってしまうと、本当の怖がり犬はとても少ないです。
そして強くお伝えしたいのはこのタイプの愛犬だと感じているのであれば、この犬たちはむしろしつけが一番必要な犬たちである!ということです。
大抵の犬は、社会性が足りなく「自信がないだけ」
犬自身が目の前に来た物質や物事を「嫌っているだけ」
自信がないことが理由であれば諦めている場合ではなく、逆に世の中のいろんな経験をさせて、自信をつけ愛犬をストレスに強い犬にしてあげましょう。
物事を嫌がっているのであれば、人間社会で生きていく中で、嫌でも受け入れなければならない事柄はたくさん存在することを教えてあげましょう。
いかがでしたでしょうか?
3つの「諦め」という限界を取りはずましたか?
限界は”人”が作っているだけです。「うちの犬はできる子かも!」と思って向き合ってみてください。
必ず今以上の関係になれます。
今や過去だけを見るのではなく、ちょっと先を見て愛犬と向き合ってみてくださいね。
〈 文= ドッグトレーナー 西村緑彩 〉