海抜0M地帯で経験した「台風19号」犬の同行避難について

           

台風15号並びに今回の台風19号で被災もしくはその影響を受けた多くの皆さまへ、謹んでお見舞い申し上げます。また犠牲となってしまわれた方々、動物たちへ深くお悔やみ申し上げます。今もなお、多くの方が避難生活をされ不安な日々を過ごされているかと思います。1日も早く復旧となり、平穏な日常が戻りますよう祈念しております。今回の災害を受け感じた課題と今後多くの地域で犬をはじめペットとの避難の形が変わることを願って、私自身の体験と併せて区役所防災課への取材も行い記事を書くことにしました。

江東5区大規模水害ハザードマップ

私は、東京都墨田区で生まれ育ち、自宅が海抜0m地帯の荒川河川敷沿岸だったこともあり祖父母からも、また公教育でも荒川の氾濫や浸水被害について学ぶ機会が多くありました。「江東5区大規模水害ハザードマップ」を参考にすると、5メートル未満の浸水かつその水は2週間以上引かない土地のようです。幸い、2019年10月12日台風19号の影響を受けるまで実際に被災することなく生活をしていました。寧ろ荒川河川敷は私にとって思い出深く、また日常的な場所でもあり、日々の散歩コースです。

2011年3月12日東日本大震災であの地震を経験した私は大きなショックを受け、犬たちとの避難について考え直し、いつ災害が起きても犬たちの命を守ることができるように、入念に避難確認をし、犬の社会化も行ってきました。今回の台風19号は、今までとは全く異なるスケールだということを事前に感じた私は、改めて犬たちとの同行避難について国の方針や行政、自治体の方向性を確認し、調べました。

管轄する環境省ではペットの同行避難を推奨しています。そして居住区の墨田区は、2018年4月1日発行の「防災計画等における動物愛護管理の記載状況(環境省)」で、下記の通りその方針を掲示していました。

<墨田区地域防災計画本編 震災編(予防・応急・復旧対策)>
第10章 避難者対策
第4節 動物救護
1 都や都獣医師会墨田支部との協力体制の確立
2 避難所における動物の適正な飼育
(1)同行避難動物の飼養場所の確保
(2)避難所に設置される動物救護所の運営
(3)避難所における動物の適正飼育の指導
(4)避難所等における動物の飼養状況の把握及び都や関係団体への情報提供
(5)重症動物の後方動物医療施設への搬送の要否の決定
3 動物収容用ケージの備蓄

そこに書かれてある「同行避難動物の飼養場所の確保」を確認した私は、ひとまず避難する場所があることに安心をし、墨田区WEBサイト「ペットの防災対策」も併せて確認し、同行避難に備えて、犬たちが他の避難者へ迷惑をかけないよう最大限の配慮をするための準備をして同行避難に備えました。

2019年10月12日(土)、荒川氾濫の可能性があると警戒レベル4(全員避難)のエリアメールを受信。
豪雨の中、避難所に向かう前に再度確認をしようと思い、区役所へ「ペット同行避難が可能な避難所を教えていただきたいです」と問い合わせました。
すると職員から「各避難所に直接確認をして欲しい」と言われ、該当する避難所に確認したところ、「ペットは嫌いな人がいるから無理ですね〜区役所に聞いてください、私たちではOKとは決められないですね・・・」と追い返されました。

その頃、すでに時刻は20:30過ぎ。
墨田区は、レベル5の大雨特別警報が発令され災害発生に切り替わっていました。
近隣の方は続々と避難を開始。
家々の明かりが次々に消え、私たちはポツンと孤立しました。そして停電。
犬たちと暮らす近隣の友人から「どこに避難すればいいのか、、」と落胆する連絡が私の元にも多く鳴り響き、眠れない夜を迎えました____

 

私たちが今こうして日常を過ごすことができているのは、治水機能等多くの備えにより荒川の氾濫が無かったから。ただそれだけだと思っています。私の今回の動きや備えでは結局避難さえできなかったのが事実です。今後のために、自分の防災を考えるべく墨田区防災課へ直接来所しお話を伺うことにしました。

職員の方に今回の経緯を上記の通り伝え、下記の通り回答がありました。

Q1. スタンスは同行避難→同伴避難の認識でOKですか?
A. OKです。墨田区は全域で避難所内にペット同行避難者専用コーナーを設け、ペットと避難されている方とそうではない方を分けてペットと一緒に避難していただく形です。
Q2. なぜ同区内で避難所によって「ペット同行避難者専用コーナー」が設けられた所とそうではないところがあったのですか?
A. 事前に台風上陸に備えて予定していた避難所にはペット同行避難について周知徹底をしており、「ペット同行避難者専用コーナー」を設けるよう指示をしていましたが、想定以上に規模が大きくなってしまい急遽開設をした避難所にはその指示を出していませんでした。
ただ、そもそも避難というものは緊急時に起こることであって、ペットの受け入れを避難所の責任者が拒否したようであればそれはモラルとして大きな問題だと考えています。
Q3. 選択肢を増やすため、ペット同行避難受け入れ可能な避難所を事前に知る機会を設けていただきたいです。
A. 本来、墨田区では全ての避難所でペット同行避難を受け入れます。なので、そもそも受け入れ不可の避難所は無く、全ての避難所で受け入れを周知徹底していく方針です。
Q4. 今後のことを教えてください。
A. ペット同行避難については、災害当日も混乱を招き、また今もなお多くのお声をいただいており最重要課題の1つと認識しています。
災害はいつ起こるかわかりません。区民の皆さまには安心してペット同行避難をしていただけるようすぐに対応をし、ホームページなどで掲示させていただくと共に、担当職員への周知徹底を行います。

今回ご対応をしていただいた墨田区防災課担当者が冷静に課題を把握されていること、誠意を持って回答をしていただいたことと、そのスタンスに心底ほっとして胸をなでおろしました。

犬と暮らす選択をしている私たちは、避難所内に作っていただく「ペット同行避難コーナー」で犬たちを落ち着かせ、共に避難し、多くの避難者に迷惑をかけることが無いように日頃からマナーとモラルを心構えておくことが大切だと考えます。公助の前に、まずは徹底した自助。人命救助優先、それは大前提です。アレルギーをはじめ、動物が嫌いな人がいることも重々承知です。ただ、ペットと共に過ごす人たちはペットを自宅に残し、避難をすることは困難です。避難が遅れる前に、事前にその仕組みがあることで救われる命が多くなるのでは無いでしょうか?

今回、SNS等で様々な自治体のスタンスを目にする機会がありました。そこには、「ペット同行避難はできません!」と掲示している自治体も複数ありました。今後に備えて、お住いの地域の「ペットとの避難」についてもう一度確認をされてみてはいかがでしょうか?また、犬猫以外のペット同行避難の定義も考えたいですね。台風をはじめ災害の多い日本に暮らす私たちにとって、大切なことだとenkaraは考えます。

自治体の防災計画等(全国一覧)平成30年4月1日公開(PDF)

enkaraは、犬と人間のより良い未来の形の実現を目指すプロジェクトです。今までの”犬との当たり前”がアップデートされ、新たな気づきが生まれることで、犬と人がより豊かな関わりで本質的に繋がり共に生きる姿を目指します。今までの当たり前や慣習を全て疑いたいです。
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