日本各地に甚大な被害をもたらした台風19号が上陸してから1ヵ月が過ぎました。 今もなお避難所での生活や在宅避難を余儀なくされている方々が多くいらっしゃいます。 被災を受けた多くの方が1日も早く、平穏な日常に戻れることを祈念しております。
今回の災害を受け、enkaraメンバーの体験と共に墨田区役所防災課へ取材した内容を10月16日に記事掲載しました。
あれから1ヵ月。今回は、もう少し広域に東京23区それぞれの自治体がどのような方針や対策、対応を取っているのか、改めてリサーチを行いました。
台風19号の被災から1ヶ月が経過した今だからこそ改めて向き合う
23区を統括する東京都では、ペットの同行避難を前提とした方針の下、関係機関等との連携を強化し、動物救護体制の整備に向け取り組んでいます。
ただ、同じ東京都であっても、実際に避難所を設置・運営する自治体によって大きな違いがありましたので一覧にしました。
下記のリストは2019年11月時点で独自リサーチした際、管轄担当者から得られた回答であり、方針・対応等は日々変化することが想定されます。ご自身の該当地域について定期的にご確認ください。
東京23区ペット同行避難方針比較
地域 | 同行避難 | 区の方針 | 今後の対応・対策 |
足立区 | 〇 | 同行避難を推奨。全ての避難所でペット同行避難者の受入れが可能。現状、一部の避難所のみで飼い主とペットが同室にて過ごせるスペースの確保をしている。 | 今後は全ての避難所に、飼い主とペットが同室にて過ごせるスペースを確保するため詳細については検討中。 |
葛飾区 | △ | 地震を想定した際の同行避難は可能。 | 地震以外の災害時においても、ペット同行避難者を受け入れるかどうかを検討中。 |
荒川区 | 〇 | 全ての避難所でペット同行避難者の受入れが可能。現状は避難所の大きさなども各々違うため、一部可能な避難所もあるが、全ての避難所で飼い主とペットが同室にて過ごせるスペースの確保は難しい。但し、いかなる場合もペットのスペースは確実に屋内である。 | 飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保について、どこがOKでNGかの線引きを現在進めている。災害時、避難所の近くの公園などに臨時のペット預かり施設を設営することが決まっている。設営される場所等は現在検討中。 |
台東区 | × | 地震を想定した際の同行避難は可能。 | 様々な点を検討はしているが、現状として地震以外の災害時においては同行避難を推奨するのは今後も難しいとの見方。 |
墨田区 | 〇 | 全ての避難所でペット同行避難者の受入れが可能。ペットと飼い主が同室で過ごせるスペースを設ける。 | 避難所では動物が苦手な方とペット同行避難者のスペースを分けて設置するよう、区として全ての避難所で同じ基準で設営・運営するよう徹底していく。 |
江戸川区 | 〇 | 全ての避難所でペット同行避難者の受入れが可能。現状は避難所の大きさなども各々違うため、一部可能な避難所もあるが、全ての避難所で飼い主とペットが同室にて過ごせるスペースの確保は難しい。但し、いかなる場合もペットのスペースは確実に屋内である。 | 特になし。 |
江東区 | × | 地震を想定した際の同行避難は可能。 | ある程度予測のできる災害の場合などは、事前に預け先を決めてもらうよう推奨しており、今後も地震以外の災害時においての同行避難を推奨することは難しい。 |
品川区 | △ | 状況に応じて同行避難者を受入れる可能性は高いが、同行避難自体についての方向は決まっていない。 | 特になし。 |
大田区 | △ | 地震を想定した際の同行避難は可能。ある程度予測のできる災害の場合などは、事前に預け先を決めてもらうよう推奨している。避難所の運営にあたる自治会の考え方に拠るため、避難所ごとに判断が異なる。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は考えていない。 | 同行避難者の受入れの可否は、事前に防災課で把握している場合は教えてもらえる。また、自宅近辺の学校などの防災訓練時などに確認できる。改善に向けて、前回の台風の際の調査を現在も調査中である。将来的には、区で統一した基準で避難所を開設できるよう進めていきたい考え。 |
目黒区 | 〇 | 全ての避難所でペット同行避難者の受入れが可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保に関しては、避難者が少ない場合はそれぞれ対応できるが、大規模災害のような多数の避難者が想定される場合は、原則不可。 | 自主避難場所に関しては取り決めがない状態だったが、こちらも全ての避難所で同行避難を受け入れる予定で整備中である。 |
世田谷区 | △ | 地震を想定した際のペット同行避難は推奨しているが、水害時はある程度の想定ができるため、全面的に推奨はしていない。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は不可。 | 自主避難場所に関しては取り決めがない状態だったが、こちらも全ての避難所で同行避難を受け入れる予定で整備中である。 |
中央区 | △ | 区としてはペット同行避難が基本との考えだが、ペットの受入れを拒否している自治会もあるため、全ての避難所で同行避難できるとは限らない。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は不可。 | 指定避難所においては、全ての避難所で同行避難者を受入れるよう各自治会と議論中。 |
千代田区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難が可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については、避難者数に応じて現場レベルで判断される。 | 特になし。 |
港区 | △ | 指定避難所では全て同行避難が可能。自主避難所では原則不可。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は不可。 | 特になし。 |
渋谷区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難が可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は原則不可。避難所にはケージ・フードなどの備蓄あり。 | 特になし。 |
文京区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難が可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保は原則不可。避難所にはケージ・フードなどの備蓄あり。 | 特になし。 |
新宿区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難が可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については、原則不可だが、避難者数や避難所の状況に応じて判断される。 | 特になし。 |
北区 | △ | 避難所の運営を区の職員が行う際は全ての避難所で同行避難を受入れる。地震などの災害の場合は、自治会が運営するため基本的には受入れ可能だが、一概に全てOKとは言い難い。ケージ持参の場合は受入れやすいとの認識。 | 特になし。 |
豊島区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難が可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については、原則不可だが、避難者数や避難所の状況に応じて判断される。ケージ持参が必須。 | 特になし。 |
板橋区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難の受入れが可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については不可。ケージ・予防接種の証明が必須。 | 特になし。 |
練馬区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難の受入れが可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については不可。 | 特になし。 |
中野区 | 〇 | 全ての避難所で同行避難の受入れが可能。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保については不可。 | 各避難所にケージの備蓄を進めているが、十分な量は確保できないため、飼い主が持参するようアナウンスしている。 |
杉並区 | 〇 | 区としてはペットと同行避難というのが基本的な考えであり、全ての避難所で受け入れることを進めてはいる。しかし運営する自治会により進み方はバラバラであるというのが現状。飼い主とペットが同室で過ごせるスペースの確保についても同じく、避難所によって差がある。進んでいるところなどは、ケージ等の備蓄を始めているところもある。最寄りの避難所がどういった状況かは、ぜひ問合せしてほしいとのこと。 | 将来的に同行避難者の受入れは全ての避難所で可能にするべく進めている。 |
内閣府や環境省、東京都が基本としている「ペット同行避難」とはいずれも、災害発生時に”飼い主がペットを同行し避難所まで安全に避難する“ということです。
避難所において飼い主とペットが同一空間で過ごせることではありません。
リスト上にて〇×△で表記した「同行避難」もこの基本方針に準じています。
また、指定避難所と自主避難場所によって受入れの可否が異なる区もあります。
自治体によってその名称は様々ですが、今回はそれぞれ以下の意味で使用しています。
●自主避難場所…事前に避難を希望する人を対象に一時的に開設する避難所
安全に避難をするために警戒レベルを知ろう!
理由として、避難勧告や避難指示が発令された全員避難(警戒レベル4)環境下で、ペットを落ち着かせ、ケージを持参し、同行避難することは容易なことではないからです。
実際に台風19号の際 enkaraメンバーの体感では、警戒レベル4が発令された時には既に、とても犬を抱え外に出れる状況ではなかったと言います。
しかしながら警戒レベル3の時点で開設される避難所の多くは、所謂「自主避難場所」です。
指定避難所とは異なり、自主避難場所でのペット同行避難者の受入れは自治体によって大きく判断が分かれる点も事前に把握をしておく必要があります。

まとめ
実際、避難時に慌てず冷静になることは難しいです。
まずは最寄りの避難所について平常時に最新の情報を確認し、それを元に飼い主としてペットをどのように守れるのか。
ペットを大切な家族と思うならば、避難用品や犬の社会化と同様にその備えこそが防災において重要なことなのかもしれません。
自然災害の多い日本に暮らしている私たちにとって、誰にでもどんな地域でも起こり得る問題です。
「ペットとの避難」について今一度、考えるきっかけになればと願っています。
東京都福祉保健局「東京都ペット防災リーフレット」平成30年7月発行(PDF)
外出中、飼い主の身に万が一の事態が発生した場合、救急隊員をはじめ
その場に居合わせた人に”ペットが家で留守番中であること”を伝えるスマートフォンに貼る2層耐水ステッカーです。
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