【ペットスタイリスト中島かおるさんに聞く!】愛犬とグルーマーを繋ぐ飼い主という立場として知っておきたいこと

           

日本でグルーミングサロンは、「カット(トリミング)をしてもらう場所」という認識が強いと感じます。でもそこで働くグルーマーは、ただ毛を切り落として美しく仕上げてお返しするサービスを提供する人ではありません。飼い主が自分の犬の皮膚や毛の性質を知ること、そしてグルーミングを正しく認識し、どんなサービスを求めるのか___今回は、スペシャル企画!アメリカサンディエゴ在住のKMDOGCOオーナー中島かおるさんへグルーミングについてサンディエゴのグルーミング事情もあわせてお伺いしました。

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プロのグルーマーが必要とされるテクニック


サンディエゴでもグルーミングサロンは被毛のケア、つまりシャンプーやカットの場です。
『ここが腫れているけど、どうしてですか?』などの質問に答えるのは違法行為で、答えられるのはライセンスを持つ獣医系のみです。例えば耳の中に異常な汚れがあって赤くなっていたら我々グルーマーは触りません。下手に綺麗にしてしまうと飼い主は良くなったと勘違いして見えない耳の中の問題に向き合わずに、治療が手遅れになってしまうからです。プロのグルーマーなら〈綺麗にするという目的だけではないアドバイスを飼い主へ伝えるテクニック〉も必要とされております。

サンディエゴと日本のグルーミング市場


サンディエゴは最近急速に物価が上がり、最低賃金も時給1,710円になるなどグルーマーの給料もかなり高額になっております。それと同時にグルーミング料金も値上がりして日本より高額になってきているのかもしれません。
参考:米ドル(USD)2020年103円→2022年115円

日本は物価が安く住みやすいので、グルーミング料金が値上がりの必要があまりなく安定したサービスを提供できているかと思います。
参考:日本最低賃金 全国平均930円|東京1,041円(令和3年度地域別最低賃金改定状況発表:厚生労働省)

飼い主が犬のグルーミングで心がけておいた方が良いこと


環境や犬種によってグルーミングサロンに出すサイクルが違います。信頼できるグルーマーに詳しく聞くのも大切です。ご自分でグルーミングする場合、特にグルーミング方法は毛質によって異なります。正しいグルーミング方法が実践されていれば皮膚病も防げます。例えばシャンプーは、水に混ぜるとすぐに腐る、ボトルを開けて1年くらいでダメになる(期限がある)、原液を皮膚に直接かけてはいけない、薬用シャンプーはまず毛の汚れを落としてから使用しないと効果がない。コンディショナーはしてはいけない犬種が多いなど。シャンプーだけでもかなり高度な学習が必要なんです。

私はショードックのケネルで100頭以上の犬を管理をしていましたが、1頭も皮膚病の犬がいなかったのはやはりグルーミング方法にあったのでは?と思います。

飼い主さんも自分の犬の皮膚や毛の性質を研究するべきです。そうすれば皮膚の問題に頭をかかえる事は少なくなると思います。カット犬種なら6〜8週間でカットをしてあげるのが理想です。毛玉が酷いならサロンではなく獣医へ診てもらうのが安全でしょう。

因みに私のサロンでは、毛玉の犬は引き受けません。毛玉が皮膚に近いと刃は皮膚の近く通るため怪我をする確率が高くなるのと、毛玉に引っ張られている皮膚はアザとなってダメージがあるので、サロンより獣医の管轄になると考えるからです。収入は必要ですが、犬のためにはお断りするのが飼い主さんへの教育ともなり最終的には犬のためとなるはずです。

グルーミングサロンの選び方、信頼できるグルーマーの見極め方


愛犬に聞いてみてください。犬の様子を見ればわかると思います。

ニコニコ愛想の良いグルーマーだから信頼あるというわけではなく、そういう愛想の良いグルーマーに限って、扱いが雑な場合もあり犬が不快に感じているケースも。

グルーミングの様子を生配信しているサロンなら安心です。もしくはLINE等ビデオ通話を使い飼い主に様子を見せてくれるサロン。動画をお願いして嫌な顔をしないサロンが良いと思います。

因みにKMDOGでは、毎日TikTokの生配信をライブ中継して飼い主さんはもちろん世界中の人々が我々の仕事を見る事ができます。(もちろん飼い主の許可付き)日本でも生配信しているサロンも増えてきてます。「見せられる作業が正しい作業」という立証をしている扱いの良いグルーマーが見本を見せてくれる良い時代となっています。

編集後記

enkara編集部です。私はカット犬種(トイプードル)と暮らしているので、毎月グルーミングサロンにお世話になっています。今まで様々なサロンで愛犬をグルーミングしていただきましたが、カットやスタイルだけを重視する方や皮膚の問題に気が付いてアドバイスいただいた方、心の変化を感じていただいた方などグルーマーさんによって愛犬への関わり方に大きな差を感じてきました。私たち飼い主はグルーミングに何を求め、何を知ることで愛犬に安心を運ぶことができるのか。
グルーミング中に愛犬が今よりもっとリラックスできるように、気持ちよくその時間を過ごせるように中島さんのアドバイスを元に、もう一度グルーミングという大切な健康管理に対して確認する機会に繋がることを願っています。

[文/中島かおる・構成/enkara編集部]

プロフィール

中島かおる
KM DOG COオーナー|PetStylist,DogTrainer,Speaker,ContestJudge,Author
USA SanDiego在住
犬の美容師、公認審査員、セミナー講師、「問題犬を扱うテクニック」著者。
レスキュー保護犬扱いスペシャリスト。
日本にて、警察犬訓練見習い、ショーアシスタント、ペットグルーマーなどの経験後、アメリカでプロフェッショナルハンドラーBarbara Humphries女史のアシスタントになる。サンディエゴで1995年KMDOGCOを設立して独立。セミナー講師、スタイリングコンテストの公認審査員をアメリカで務めながら、プライベートではレスキューチームや保健所に協力をして新しい飼い主に巡り会えるプログラムを獣医と共に活動を行っている。ヨーロッパでのコンテストにも積極的に参加し日々勉強を怠らず、日本からの研修生を受け入れ、世界に通用するスタイリスト誕生を願い、犬業界向上のために日本でのセミナーやコンテスト開催に力を入れている。

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VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

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