犬と一緒に公園を散歩したい!青森県弘前市が行う【犬と散歩ができる公園】プロジェクトとは?

           

近年、公園等で犬を散歩させてはいけないという法律や条例はないにも関わらず、地域によっては公園内の犬の散歩を全面的に禁止する自治体もあり、全面禁止では無いにしても、都心部では以前よりも散歩できる公園が減った___という声も聞くことがあります。公園は誰でも利用できる公共のスペースではあるものの、犬と一緒だと入ることができない。日々、気持ちよく犬と散歩がしたいと願う愛犬家にとっては頭を悩ませる問題です。そんな中、【犬と散歩ができる公園】プロジェクトをスタートした自治体があることを知りました。今回は、プロジェクトの内容や現状、今後について、青森県弘前市 都市整備部公園緑地課 管理係主幹兼係長 成田さんにお話を伺いました。

SPONSORED LINK

【犬と散歩ができる公園】プロジェクトとは?

enkara:青森県弘前市は、どんな街ですか?地域の特徴を教えてください。

弘前市都市整備部公園緑地課管理係主幹兼係長 成田さん(以下、成田さん):「弘前市は、青森県の南西部に位置する、弘前藩の城下町として発展したまちです。市内には、東北で唯一の現存天守《弘前城》をはじめ、藩政時代の趣を残す街並み、明治・大正期の洋風建築など、歴史的文化財・建造物が多く残っています。
また、平成30年に100周年を迎えた《弘前さくらまつり》や重要無形民俗文化財に指定されている《弘前ねぷたまつり》など、四季折々で開催されるまつりには、毎年多くの方が訪れます。弘前市は農業も盛んで、特にりんごの生産量は日本一を誇ります。」

enkara:【犬と散歩ができる公園】は、どのようなプロジェクトですか?立ち上げの背景も教えてください。

成田さん:「弘前市は、子どもへの威嚇や糞尿の放置の問題等、過去には多くの苦情が寄せられたことから、犬の入園を制限していました。
しかし時代の流れとともに、『犬と公園を散歩したい』という要望が多く寄せられるようになり、平成24年の社会実験を経て、町会の同意を得られた公園を【犬と散歩ができる公園】として開放することになりました。」

enkara:今、犬の散歩や立ち入りを禁止する公園が増える中で、敢えて自治体として地域住民へ【犬と散歩ができる公園】を一覧で紹介する理由は?

成田さん:「今まで入園を禁止していた経緯があることから、散歩ができる公園として市民の皆さまへ向けて紹介するためです。」

enkara:【犬と散歩ができる公園】が増えたことで、どのような変化を感じますか?

成田さん:「市民の皆さまに、公園をより活用していただけるようになったと感じております。
一方で、糞尿の放置などの問題は残っており、いまだ『犬の入園を禁止してほしい』という声も寄せられるため、今後もモラルやマナーの向上について継続して取り組んでいかなければいけない問題であると感じています。」

enkara:【犬と散歩ができる公園】が増えたことで、困ったことやトラブルはありましたか?また、それをどのように解決しましたか?

成田さん:「糞尿の放置などに対する苦情が寄せられます。現在は、看板などの設置により対応しています。」

「弘前市マナー講習会」とは?

enkara:マナー講習会について概要を教えてください。参加者の声を教えてください。

成田さん:「年に2回、ドッグトレーナー等を講師として招き、犬を飼う上でのマナーやしつけ方法等について、実技を交えながら無料で1時間程度の講習会を開いております。
参加者からは、『飼い主と愛犬との関係性の作り方、日頃のお散歩で気を付けることなど学べた』や『吠え癖の抑え方など、犬が吠えやすいタイミングで活用していきたい』などの意見があり、具体的な犬との関わり方を学んでいただく場として活用されています。」

enkara:今後の展望をお聞かせください。

成田さん:「令和3年度、公園を管理していただいている町会に【犬と散歩ができる公園】として公園開放についてアンケートを実施し、同意が得られた20公園の開放に向け、現在準備しています。」

まとめ

そもそも公園は管理面で大きく分けると〈国営公園と都市公園〉に分けられますが、市民が日頃利用する近隣公園は、基本的に地方公共団体が設置する〈都市公園〉に該当する公園や緑地であることが一般的です。
公園を設置する目的は、【人々のレクリエーションの空間・良好な都市景観の形成・都市環境の改善・都市の防災性の向上・生物多様性の確保・豊かな地域づくりに資する交流の空間の提供】(※)とされており、この目的のために自治体は管理運営しています。
いつもの公園を今までと同じように気持ちよく、犬と散歩するために私たちができること、それはモラルとマナーの向上と徹底以外にありません。
犬自身が悪いのではありません。
糞尿の処理やリードの使用、園内でのブラッシング、無駄吠え対処など___犬と暮らす私たちが、犬たちが大好きな公園や緑地で今後も一緒に散歩できるように、意識を高めていくことが大切だと感じます。

〈参照・参考〉
青森県弘前市
(※)国土交通省「国営公園とは?都市公園とは?」

[文・構成/enkara編集部]
《この記事を読んだあなたにオススメ!》
犬と暮らす日常に、新しいマナーやスキルをプラスオンすることで、楽しく健康的に犬の社会的地位向上を飼い主自身が目指します。オンラインセミナーやオフラインイベントなど様々な企画を開催!スキルアップを実践することができます。

関連記事

犬を飼うためには、ドッグトレーナーから飼い主がトレーニングを受けることを法律で義務付けている国もかつては多くありました。現在は義務ではなくなった国が多いのですが、その理由として、ほとんどの飼い主がドッグトレーナーからトレーニングを受けるこ[…]


関連記事

ここ最近、犬と暮らす人々の間で定着してきた「ペットカート」や「ペットバギー」(以下、「ペットカート」)。人それぞれ使用の目的や使い方は違いますが、至る所で見かけることが多くなりました。シニア犬や歩行困難な犬と飼い主にとっては、散歩や外出す[…]

ペットカート,公共交通機関

関連記事

犬がシニア期になると様々な状況が起こります。現在、日本の犬の平均寿命は14.48歳、7歳以上の高齢犬が飼育全体の約半数以上を占めていると言われています※。また、8歳以上の犬の20%は認知症の可能性があると考えられており、犬の高齢化に伴いラ[…]


関連記事

動物病院やグルーミング、少し遠くのドッグランへ行くなど、日頃から愛犬と一緒に車に乗っている方は多いのではないでしょうか。皆さんは普段どのように犬を車に乗せていますか?何気なくしていることが、実は愛犬にとって居心地の悪いこと、更には危険に晒[…]


\enkara最新情報をチェック!/
 data-eio=VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」" width="1280" height="768" >

VISION「私たちは循環する社会の仕組みを創る」

今までの犬と暮らす当たり前や固定概念にとらわれず、新しい情報や価値観を知ることで気づきを得るために、様々な情報発信や活動をします。最終目標として掲げる「循環する社会の仕組みを創ること」を実現するため、ミッションとして、“犬を知る“をアップデートし、より豊かな関わりで犬と人が本質的に繋がり、共に生きる姿を提案します。私たちは、循環サイクルの中でその未来を創造し実現できることを強く願いビジネスを営む社会を目指します。

CTR IMG